★★★★☆  僕が天使だというなら、帰れないようにこの羽を捥いでしまえばいい!(名言)ブライトン・ロック! (二見シャレード文庫)作者: 椹野道流,宮本イヌマル出版社/メーカー: 二見書房発売日: 2002/05メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る

 ジェレミー(ブライトン在住の青年)×航洋(イギリスで自分探し中の元医学生)   攻のトラウマ度・稲妻級


本当に自分のやりたいことを見つけるために、親の反対を押しきって医学部を退学、イギリスの港町、ブライトンにひとり留学した航洋―。英語もうまくしゃべれず、心細い思いを抱えるそんな航洋がスーパーマーケットの店先で出会ったのは、ブルーグレーの優しい瞳と人懐こい笑顔がステキな青年、ジェレミーだった…。ひょんなことからすっかり仲良しになった二人は、航洋が暴漢に襲われた事件をきっかけにフラットメイトとして一緒に暮らすことになったのだが…。ただの「家族ごっこ」?…それとも…?(あらすじより)


トラウマものから一転、堪野道流ワールドに帰ってきましたイヤッフォウ!ただいま先生、幸せになりに来ました!!


さいころから医師である父親の背中を見て育った航洋は、自分の未来も父親に決められてしまう。遅れてきた反抗期なのか、自分の本当にやりたいことを見つけることが出来ない航洋は反抗心もあってか突然医大もやめてしまい、自分探しのために単身イギリスに旅に出てしまう。
イギリスの港町・ブライトンに降り立った航洋は、英語も話せず知り合いもおらず、一人で心細い思いをしていた時に近くのスーパーで働くジェレミーと出会う。彼は人懐っこく陽気で、航洋のことを気にかけてくれて二人はゆっくりと仲良くなってく。

ある日、航洋は突然麻薬常習者に襲われてしまう。必死にジェレミーに助けを求め、なんとか事なきを得たもののそれをきっかけに二人はルームシェアをすることになる。自分をバイだと公言するジェレミーは「女性とは寝ない」と言い切る。子供ができると家族ができてしまうから、というジェレミーを航洋は理解することが出来ない。


ある時二人は休暇を合わせて旅行に出かけます。この先生は背景描写がとても丁寧で、イギリス名所めぐりがとても克明で楽しい。私のような想像力の乏しい人間でも十分浮かんでくるんですわ。ストーンヘンジや古い教会、のどかな牧場。そして近くのホテルで二人が夜を過ごすことになる。
外は大嵐、そして二人の間に決定的な事件が起こるわけです。


なぜジェレミーは「女性とは体を繋がない」のか。なぜかたくなに「家族」にこだわるのか。どうせ日本に帰るくせに、と航洋をなじるジェレミーに、航洋は「僕が天使だというなら、帰れないようにこの羽を捥いでしまえばいい!」と言い放ちます。うおおなんかかっこいいぞ航洋!!
それを境に、二人の切ない「家族になるための努力」が始まるのですが…。