★★★★☆ 精神的男前な思想検事(架空職業)権力の花 (SHYノベルス136)作者: 榎田尤利,新田祐克出版社/メーカー: 大洋図書発売日: 2005/07/04メディア: 新書購入: 2人 クリック: 5回この商品を含むブログ (3件) を見る

 陣内(謎のゲイ・大学教授)× 楓(父の人形・思想検事) 危険な未来度:高 


次席検事を父に持つエリート検事・蔵持楓は類い稀な美貌と頭脳の持ち主であることから『思想部の宝石』と呼ばれている。すべてに恵まれた順風満帆の人生。しかし、内実は大きく異なっていた。誰にも言えない持病。父の手駒としての男とのセックス。そして、見知らぬ誰かからの脅迫…。生来のプライドの高さゆえに、弱音を洩らすことなく生きてきた楓だが、ある日、取り調べの対象である大学教授・陣内幸也からデートに誘われる。奔放な魅力を持つ陣内。彼は敵なのか、それとも…。 (あらすじより)


榎田さんの小説はコメディタッチばかりだったのでいきなり本格的なものを読んで面喰らっています。


特殊な職業【思想検事】として働く楓は次席検事である父親の人形として、権力者の前に跪く事を強要されています。
父親に認められようと必死に頑張り、逆らうことすらあきらめていた楓の前に陣内が現れ、そんな楓を揺さぶっていく。
正義とは何か、自分の行っていることは正しいことなのか、目の前の人間は真実を語っているのか。
検事さんらしく悩み、そして自分の中の【正義】を見つけるのですが…というお話。
ちなみに思想検事というのは架空の職業で、危険な思想をもつ人間を見張り、事前にテロや破壊行為を企むのを阻止する、という検事の中でも特殊な位置づけで、エリートらしいです。思想の自由とかそんなの関係ねえ状態で実際にそんな職業あったら怖いです…。


さすが榎田さん、いつものように読み飛ばしながら進んでいくと「うぉ、ちょっとまて」というように何ページか戻るはめになるくらい、背景もしっかりしていました。
そして、受の検事さんは持病もちであります。いつも注射を持ち歩き、最終的にはそれが弱点となってしまうのですが…。
なんとなく、ラスボスは彼じゃないかと感づいていたけど、できたら彼じゃないほうがいいなとも思っていた。楓は今まで孤独を彼に癒してもらっていたのに、これじゃ辛すぎるやんけ!まあ、陣内がいるからいいのか?それでも裏切られるってのはつらいよね。

それにしても…持病もちというとはかないイメージがあったのですが、常に冷静!言うことは言うし軽口には軽口で返すということもできる。行動も思考もとっても男前な方でした。どことなくまじめにした芽吹交渉人のような方でした。
イラストが新田先生ということもあり全体的に男くさい感じです、交渉人テイストでしたが、あそこまで軽くなかったね。
ちゃんとした小説を読んだって感じです。面白かった!!