公爵閣下と屋根裏の花嫁 (クロスノベルス)作者: 弓月あや,緒田涼歌出版社/メーカー: 笠倉出版社発売日: 2010/02/09メディア: 単行本 クリック: 13回この商品を含むブログ (1件) を見る

「背徳だと誹られても構わない。君は私の花嫁だ」病弱な少年・真舟は航海途中、青年紳士のエドワードに出会う。洗練された男の誘惑に、恋を知らない真舟は戸惑いながらも次第に心を開いていった。航海最後の夜。離れたくないと願い、初めて彼の濃密な愛撫に蕩かされて幸せの絶頂にいた真舟。だが、その幸せは儚く、長くは続かなかった。見知らぬ異国で全てを失い、辿り着いた屋根裏。恋した男の面影を胸に耐える真舟に、運命は更に試練を与えてきて―!?身分違いの恋とすれ違いが切ないラブロマンス(あらすじより


オイラ的に「不幸のどん底な18歳未満の受」を書かせて天下一品と思うのは雪代鞠絵・いとう由貴・そしてこの弓月あや(敬称略)だと思うんだな。
弓月先生は何でも花嫁にしたがる傾向があるんですが、この受(超不幸)は小公女も兼ねてましたね。いやあ、不幸。


豪華客船でロンドンまでの一人旅の最中、体が弱くて人見知りの箱入受が超ゴージャス公爵様に見初められちゃうんですわ。公爵様のリードにていい感じに距離を縮めつつも、受君は関係をこれ以上進めてはならないと自重、素性を完全に明らかにしないんですね。船旅ラストにて一線越えたんだけど、そこで攻様が王族関係の超セレブだと知って身分違いに気づき絶望、この恋は完全に終わったかに見えます。

ロンドンに到着した受君には不幸の波状攻撃が襲い掛かってきます。無一文でロンドンをさまよう受君、不幸のどん底ですね。さ迷い歩いているうちに偶然にも例の公爵様のお屋敷にて行き倒れ、そこでなんとか仕事を得ます。公爵様と同じ敷地内にいるにもかかわらず公爵様は受君の存在を知らずにすごす。受君は東洋人嫌いのほかの使用人からのいじめも受けますが、公爵様との小さな接点を心の支えにして何とか生き抜いていくんですが…ぬううう。


突っ込みどころは数々あれど、泣けた。
日本に残された山のような問題を放置しつつロンドンでラブ生活!!みたいな終わりも少々引っかかってしまう…親戚のおっさんはどうすんの!みたいな。公爵様は一度受君を日本に返してやらないとまずいと思います。公爵様は「同性愛は犯罪」とはっきり言い切っておりますが、結ばれたあとのラブラブぶりを屋敷の方々が何も言わずにほほえましく見守ってるってのもなんとなく違和感でございます…。口うるさい執事まで背中押してるのはどうかなー、みたいな。深く考えちゃいけないんだろうが…。
読み手にはすぐ「公爵の親友=受君の兄様」ってのはわかるんだけど、登場人物はあまり接点が無いもんだから全然気づかない。もどかしい!!


この話、どうみたって受君の本命は兄様だよな。
兄様が本当に気の毒で、主人公の境遇云々より、そっちのほうに気が行っちゃってぼろ泣きしてしまった。
受君は終始兄様を想い泣き暮らしていました。想いの比重は公爵様2:兄様8くらいですよね。だからというわけでもないんだけども、エドワード公爵様の影の薄さがアレでした…。
おいら兄弟ものは生理的に受け付けないんだが、この兄様とだったらくっついてもおk!と思った。


あと、あとがき後の番外編は自分的にいらない。完全に蛇足だと思った。受、凶星扱い。