■弟が気持ちわるい…華の涙 (プラチナ文庫)作者: 剛しいら,御園えりい出版社/メーカー: フランス書院発売日: 2009/12/10メディア: 文庫 クリック: 2回この商品を含むブログ (1件) を見る

震災で家族を亡くした乙也は、売られた奉公先で暴行されそうになったところを、家の跡取りである一威に助けられる。一威の計らいで病に伏せる次男・文紀の世話係となり、恩に報いようと懸命に仕えた。しかし兄に異様な愛着を示す文紀に、自分の身代わりとして一威に抱かれろと命じられる。誠実でいつも優しく見守ってくれる一威に心を寄せていた乙也だったが、文紀の情念に操られるかのように彼を誘惑しようとした。軽蔑の眼差しで拒絶されても、服を脱いで一威の前に跪き―。(あらすじより)


不幸が一度に襲い掛かってきて崩れそうな受が、攻の真摯さややさしさを心の支えにして耐えている姿はちょっと涙が出てくるような気がしたんですが、なんというか病床の弟が気持ち悪くて仕方なかった。病気で心を病んでいるのは仕方ないのかも知れないけど…。弟はとても哀れな最期を遂げたらしいですが、最後の最後でいい人になっててまた違和感があった…たぶん私は、この弟嫌いなんだな!!受の不幸はそんなに長い間続かないんだけど、そのあとの展開もなんだか「なんでそうなるかね〜」という気持ちがぬぐえない感じで、わたしにあわなかったみたいです。


出てくる人でまともな人がほとんどいないせいか、攻がまともなのがかえって異様に思えてくる。このやさしさの後で裏があるんじゃねえの!?みたいな。
お互いに「嫁をもらって将来は親や家を安心させなければ」と思っているせいか、結局二人の逢瀬は秘密の小部屋なのですね。その辺も個人的にはちょっとアレな気持ちになる原因かも。


時代物で、不幸な受で、だんな様とは気持ちがすれちがって、っていう鉄板ものなのに泣けなかったのは弟が最後まで気持ち悪かったからだなあ。
受、攻が再会し再び心を通わせたあとに死んだはずの弟の気配が濃厚に感じられる描写もあり、それに対して二人が「弟が結び付けてくれた」と感謝してる姿は自分的に興ざめでした。つまりは私が弟が好きになれなかったのがすべての敗因だと思われます!!涙が出てこなかった!!