征服者は貴公子に跪く (ディアプラス文庫)

征服者は貴公子に跪く (ディアプラス文庫)

両親、そして財産を失い、先祖代々の居城を手放すことになったパウル。ところが、契約書にサインを済ませたとき、売却先である日本のホテルチェーンから来た牟田は、かすかな笑みを浮かべて告げたのだ。「あなたも込みで買ったのですよ」と。男の傲岸さに最初は反発を覚えたものの、無表情ながら冷血漢ではない牟田と徐々に心の距離が近づいてゆき…。 (あらすじより)


予約するほど楽しみだったのに、発売前後においら『BL読めない病』を発症してしまったため放置中だったもの。いつき先生は私の神様です、金先生とはあまり相性の良くない私でございますが、今回はいかがかしら!


あらすじをみると『俺超金持ちジャパンから来た征服者だぜ、この城は今から俺のもの!ついでにお前も俺のもの!!だからこんなことやあんなこともしちゃうんだぜイィーッヒッヒ!』という話が展開しそうだし、普通そうなると思っていたんですがね。
そういう意味ではなく、ある意味城のインテリアとして彼を手に入れるという感じ。
まあ、パウルにとって屈辱には変わりないんですが、BLだったらすぐあちらのほうに話が行きそうなもんですが、こういう話だったら現実に無きにしも非ずだろうな、とか思ったりして。
最初は不遜でぶっきらぼうな牟田ですが、実はとても紳士的!警戒していたパウルもいつしか牟田に心を許し、自然と二人はパートナーになっていきましたよ。
なんつうか、すごく全体通して真摯なお話でした。思った以上に牟田が紳士的だった!
あと、『牟田』の複線!そこでそういう展開になるのかーっと感心しました。そういやあかなり前のほうに牟田の名前についてちょっとだけ触れられてたし!感心です。


にしてもさ、金先生の描いた『お貴族様の顎を掴む日本人の金持ち』という図式から言ってやば毛だなと思っていたのですが、中身はかなり違っていたので、ちょっと驚きです。
つうか、いつき先生に『俺は金持征服者だからお前にあんなことやこんなことを(以下略)』なんて話は書いていただきたくなかったのですごく安心しました。私はこういうお話、好きですよ。ドイツ行ってみてえ!