★★★★★  自分的たぶんこれ以上のアラブはないだろうなぁと 砂漠は罪に濡れて (アルルノベルス)作者: 早瀬響子,実相寺紫子出版社/メーカー: ワンツーマガジン社発売日: 2008/02メディア: 単行本 クリック: 9回この商品を含むブログ (2件) を見る

  ファイサル(黒い悪魔と呼ばれる将軍)×篤史(優しくて透明な青年)


「お前を奴隷にする。―死ぬまでな」十年前の贖罪の為、自らハムシーン王国の若き将軍ファイサルの性奴となった篤史は、憎悪の浮かぶ眼差しで荒々しく凌辱され容赦なく責め立てられた。ファイサルを過酷な運命に追いやった罪悪感に苛まれながらも、痛みを伴う熱い愛撫に無垢な体は被虐の悦楽さえ感じていく。これは罰だと、自分を戒めながら全てを甘受する篤史だったが、やがて彼の孤独な魂に気づき…彼の傍にいたいと願うようになって―。(あらすじより)


道を歩いているとどことなく秋の風を感じるようになり、もう夏も終わりなんだなと思ったりする。『夏はアラブ!』という自分的目標を立て、アラブっぽいものばかり読み倒していましたが、この本でラストです。よく読んだなあ自分、って感じです。しばらくアラブはイイやと思う次第ですが、結局号泣アラブはみつからなかったかなあと思ったりしていたのですが…ラストで来ましたこれ!!
私の好きな切ないすれ違い愛で美人受。実相寺先生の描く美しすぎるイラストもぴったりです。


◆自分的ツボ1 攻が王子じゃない!!
  王家の血筋は来てるものの、立場が複雑すぎて王族のカテゴリに入らない。
  英雄であり無骨な将軍という位置づけでした。ケクイイ!!
◆自分的ツボ2 受が子供じゃない!!
  日本人の高校生を拉致して云々〜という話が多すぎる。
  この受は28歳、きちんとした論文を書く研究者で物静かな大人です。ケクイイ!!
◆自分的ツボ3 話がドラマチック!
  アラブにありがちなただの拉致監禁物じゃなく、きちんとした背景の上に立ってた!イイ!!


10年前に慕った篤史に裏切られて何もかもなくしてしまったと思い込んでいるファイサルは篤史に対して激しい憎しみを抱いています。殺したいほどに憎むけれども殺すこともできず、ただひたすら肉体的な苦痛と屈辱を与えて怒りをぶつけるが、そのうちに篤史の本質にうすうす気づき始める。篤史を慕う気持ちは10年前から失われていないけど、彼は両親を殺した憎むべき仇であるはず。
だれが父母を殺したのか、真実はどうなのか、憎むべきはだれなのか―。
一方の篤史は、10年前の真実を知るもののファイサルをこれ以上追い詰めたくないとすべての罪を自分で飲みこみ口を閉ざします。ひそかに思い続けるファイサルへの叶わぬ思いなど、ジワーッと涙が出てきた。

初作家様でしたが、読み物としてすごいよかったと思う!
ファイサルを守ろうとして自分を犠牲にする篤史と、篤史の本当の姿を知りたくて苦悩するファイサル。うああああ!!!ひと夏で読んだアラブに自分なりの順位をつけるとなると、この本は間違いなく1位をさしあげたい!
あと、嫌な側近の彼はFFのケフカに酷似。あんな感じで!!

ただ、純粋な感想としては。一番の原因はファイサルのおやじだったのかな〜とか。篤史気の毒!


◆自分的アラブランキング◆
 一位 砂漠は罪に濡れて(早瀬響子・著) すれ違い愛!
 二位 砂漠の真珠(いとう由貴・著)  いい王子と不幸な受!
 三位以下…だいたいみんな同じ  拉致監禁拘束投薬隷属人身売買………(お経の様だ)
 番外 楽園の囚われ人(六青みつみ・著) ※これはアラブではなくペルシャのお話らしい。中東つながりってことで!