★★★★★   あああ、泣けたよ〜TT水に眠る恋 (リンクスロマンス)作者: 可南さらさ,円陣闇丸出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス発売日: 2005/11/30メディア: 新書 クリック: 5回この商品を含むブログ (10件) を見る

  久住(尚哉が自分のすべてだった)×尚哉(背負って口を閉ざす苦労人)  言葉って大事度・高


仕事で大学病院を訪れた上原尚哉は、高校時代の同級生で外科医になっていた久住廉との再会に狼狽する。なぜなら、かつて心を通わせながらも、ある事情で尚哉が裏切り、別れた相手だったからだ。久住は屈託なく接してきたが、二人きりになると態度を豹変させ、脅すように「償い」を求める。身体を差し出せ、と―。別れてからも久住を想い続けていた尚哉は、心を痛ませながら応じるが…。甘苦しいセクシャルラブ、全編書き下ろしで登場。(あらすじより)


週末は泣く!と気合いを入れて選んだ可南先生です。以前おススメしていただいた『ラブレター』がありえないくらい泣けたので、きっとこの先生と私の泣きポイントは近いものがあるんだと思っています。しかもリンクスだし期待ですよ!!さあ、先生俺を泣かしてみろ!!
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表紙は円陣先生です。本当に素敵な大人の男性を描いてくださる先生で、いつも鼻血が出そうなほどかっこいいです。今回の表紙もやっぱり素敵男性なんですが、久住の顔が怖い。眼の下の色が怖いです先生!!


尚哉と久住は高校の頃、ひと夏だけ心を通わせていた。どちらが言い出したわけでもなく夜に出会い、そっと別れる関係。セクシャルな触れ合いは一度だけで、あとは手のひらや視線で交わすだけの淡い恋です。久住はお金持ちのボンボンで地元の名士の息子なのですが、ずっと尚哉と一緒に生きたいと真摯に訴えてくれ、二人でチケットを購入する。しかし尚哉はそんな久住との待ち合わせに現れなかった。別れも言わず、ひっそりと姿を消してしまう。

そして9年ののちに仕事の関係で再開するんですよ。高校中退してとにかく生きることに精一杯だった尚哉さんですが、久住氏を忘れることはできませんでした。しかし怒りが解けない久住氏は尚哉を追い詰め、世話になった会社の取引を盾に取って9年前に勝手に姿を消した尚哉への制裁を加えてきます。すべては久住の強すぎる執着なんですが、尚哉さんは自分がつけた久住の傷を想い、言い訳もせず、誤解やすれ違いを解くこともなくただひたすら苦しみを飲み込み続けるんですよ。
うああ、泣いた。この辺でおいらもうダメでした。


尚哉さんが久住氏からどうしても離れなければいけなかった理由を尚哉妹から聞かされた久住氏、尚哉を解放してやろうとします。しかし、苦しめられながらも側にいられることを望んでいた尚哉さんはそれに失望してしまう。それでも心の中で久住氏を思い続けるんですよ。
尚哉さんは、無くした手帳の中に大切な「とある物」を忍ばせているんです。そのモノが失われてしまうという場面でようやく尚哉さんの本当の想いが爆発するんですよ。うおお、久住バカ気づけよ、尚哉の想いに気づきやがれ!!!おいら、そこでそれが来るとは思わなくてそこでまた号泣しました。おいら涙腺弱すぎ!!


男同士ということで、愛し合う二人が様々な障害に直面するであろう事はぼんやりと想像できるんですが、BLではわりと「当たり前」で流される場面が多いと思うんですね。尚哉さんは体の弱い母親と、自分を頼る妹を抱えています。何もかもを捨てて久住氏に飛びこむ事は簡単だと思うのだけど、尚哉さんはそれができずにただ苦しむ。母親、妹、久住からどんどんと思いを押し付けられ、何度もつぶされそうになってしまうんです。ただ、それでも最後まで凛と前を向き続けた尚哉さんは本当にしなやかな男前だと思いました。


うおお、泣いた。最後の最後までのめり込んだよ!!深夜に布団の中で読んだのですが、終始すすり泣いてました(時に号泣)。よかったです!