★★★☆☆  逃げんなザフィール!!(テロリスト忍の声でw)砂漠の夜に見える月 (ショコラノベルス・ハイパー)作者: いとう由貴,せら出版社/メーカー: 心交社発売日: 2007/08メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (2件) を見る

 ザフィール(悪魔と呼ばれる問題王子)× 昂(突撃型熱血高校生)  いつの間にか愛が…度・唐突! 
 

中東アルディビル王国に旅行にきた高校生の奈々原昂は、砂嵐に遭い目覚めるとオアシスに建つ巨大な館に目隠しと手足を拘束されて、監禁されていた。そして、ザフィールと名乗る男に無理やり抱かれ、さらに抱き人形として仕えるようにと命令されてしまう。しかしザフィールの愛撫は、言葉とは裏腹に優しく甘く情熱的に昂を蕩けさせる。せめて顔を見たい。いつしか昂は、ザフィールが自分に姿を見せない理由やその姿に興味が湧き始め―。絢爛豪華ないとう由貴のデザート・ロマンス。(あらすじより)


いとう由貴先生のアラブ物6冊、感動のラストです。何が感動って、ちゃんと最後まで読み切った自分に感動ですよ。途中で飽きなかったのは、いとう先生の受に対する並みならぬ愛を感じたからだと思います。先生は受を心から愛してるんだなあ、だからあんなにけなげでいい子をかけるんだろうな、とか思った。
それにひきかえ王族のひどいこと…。良い王族は5冊目のジャラール様(様付け)だけじゃないかッ!

ラスト1冊はどんな皇子様でございましょう。なんとなく表紙から拉致監禁物ってことはうかがい知れます。アラブシリーズのラストを飾るべく、アラブの王子要素を全部盛り込んできそうな予感がプンプンです…。


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母親が商店街の福引(!)でァルディビル7泊の特賞をあてちゃった!高校生の昂は、いとこと一緒に『熱砂とロマンの国・アルディビル』に旅行に行くことになりました…。なんかこう、しょっぱなから庶民的な昂君です、この先のアラブ的展開を考えると福引旅行を全力で阻止したくなるくらい素直な子です。

アルディビルで市場を散策し、見たかった砂漠のツアーでも楽しんじゃう昂君。楽しそうです。しかし、突然吹き荒れた砂嵐に巻き込まれて砂漠で遭難してしまいます。仲間からはぐれ、砂に埋まっちゃった昂君を気まぐれに拾ったのは、王族の中でもひときわ異彩を放つ問題王子、ザフィールだったのです。日本人大好きなアルディビル王族らしくザフィールは市場ですでに昂君に目を付けていたので、これ幸いと自分の離宮拉致監禁してしまいました。
ザフィールは生まれが少々複雑で、顔に大きな傷跡があります。これを昂君に見せたくないということで、目隠し拘束でコトに及びます。昂君は最初は激しく抵抗していたものの、目に見えないザフィールの雰囲気で彼がたとえようもなく孤独で自分に救いを求めていることを敏感に察知してしまいます。そして、彼の心を癒してやりたいという思いを抱いちゃうのです…。うおおお、なんという懐の深さ。やさしいな昂君!


なぜか顔を見せてくれないザフィールに焦れた昂君は、ついにザフィールの隠れ家を根性で発見します。しかし、顔を見られてしまったザフィールは昂君を離宮から追放し、拒絶してしまいました。せっかくアルディビルに迎えに来てくれた日本の家族たちとも会えたのに、心の中はザフィールでいっぱいです。もう一度会いたい、ちゃんと顔を見て話をしたいという強い意志から、ザフィールの一族である王子ナーディル&秘書である玲一に話を通してもらい、彼の離宮へもう一度特攻をかけることになるのです…。


後半から昂君、性格が急に男前になります。逃げんな宮城!(byテロリスト忍)状態です。ザフィールは人を信じることを極端に恐れて、昂君を受け入れることができません。ハンストする昂君ははたしてザフィールの心を開くことができるのかッ!!



さすがシリーズ最終作、拉致も監禁も強姦も投薬もアイテム使用も全部やっちゃいます。さらに拘束・目隠しも加わり、まさにやりたい放題でした。しかしザフィール氏は大変臆病な方で、最後はヘタレで甘えん坊です。ヘタレ王子攻ってのははじめてで、いとう先生の引出しの広さに改めて感嘆です。
6冊で王族6人、何かしらの作品にチョイ役で名前が出たりチラッと出演したりしていました。
玲一が石油を売ってくださいと頼みに行った王族は1冊目のハリールだったり、『花』と『蝶』はリンクしていて終始名前が出てたり、『真珠』でジャラール様が捕えるハムダーンは1冊目でチョイ役で登場してたり、ジャラール様が砂漠で悠斗を保護した後ナーディルの別荘を電話で借りたりしてました。ラストでもナーディルと玲一が昂のためにヘリ飛ばしてましたね。王族ネットワークがちゃんとあって、面白かったですwこういうのもシリーズの楽しみかしら。


ようやくシリーズを読み切った!なんだかんだ言っても楽しんじゃったのでよかったかなと思うw
うん、アラブも悪くないんじゃない?お腹いっぱい!!


追伸
いとう先生の濡れ場に、先生独特の表現として『プックラ』というものがあった。受の何かが「プックラ」するんですが、どんなシリアスな濡れ場でもこの描写を見ると急に笑いがこみあげてくる。これは先生やめたほうがいいんじゃないかなあとか思う次第ですw