★★★★☆  アルディビル初!監禁しない王子様!(自分比)砂漠の真珠 (ショコラノベルス・ハイパー)作者: いとう由貴,せら出版社/メーカー: 心交社発売日: 2006/09/09メディア: 新書 クリック: 2回この商品を含むブログ (1件) を見る

 ジャラール様(様をつけさせて下さい!)× 悠斗(アルディビル育ちの日本人)  アラブ王族らしくない度・高  
 

母が王族の妾となり、アルディビル王国へ来た芳澤悠斗は、母の死後、酷い扱いを受けていた。難題を言いつけられ市場を彷徨っていた悠斗は、身なりのいい美形の男性ジャラールに声をかけられ、館の主人の情報と引き換えに悲惨な境遇から救ってもらう約束をする。密会を重ねるうちに悠斗は優しいジャラールに好意を抱き、またジャラールも健気な悠斗を愛するようになる。ある日、召使いに襲われそうになった悠斗は、ジャラールのもとへ逃げるが―。真摯な愛を捧げる少年と情熱を秘めた王子のラブ・フェアリーテール。 (あらすじより)


悠斗君は母親が王族のハーレムに無理やり連れてこられ、それにくっついてァルディビルに来てしまう。当時六歳、それから三年後に母親が心労で他界し、悠斗はそれ以降奴隷のような生活を強いられてます。食べ物もロクに食べられず、人の嫌がる仕事を押し付けられて朝から晩まで働き、難癖をつけられて殴る蹴るの暴行をうけます。
20歳になったら自由になれる、そうしたらお金を貯めて日本の地を踏むのだという『希望』を胸に、今日も意地悪女の暴行から耐えてます。うーん、虐げられる受の心情を書かせたらいとう先生は神ですね。訴えかけてくるものがありますよ(涙)


ある日、ミカン(日本製)を買って来いという無理難題を押し付けられた悠斗君。市場を探し回りますがどこにも売ってなく、お屋敷に帰れず途方にくれてしまいます。そこに通りかかったのは、身なりのきちんとしたジャラールと名乗る人物。彼はミカンを手に入れてやる代わりに、お屋敷の主人の動向を教えてくれと『取引』を持ちかけます。悠斗君、それをうけてミカンをもらい、優しくしてくれたジャラールのことを信じて頑張ります。
お屋敷の報告をしに行くたびに優しくもてなし、母親が死んで以来誰もくれなかった「人の心の温かさ」を与えてくれるジャラールを信頼し、安らぎを得るようになりますが、それをお屋敷の意地悪女に感づかれ、複数の召使(男)にひどい目にあわされそうになってしまいます。
ジャラール様の待つ家に裸足で逃げ込み、自分の身に起こった事を報告。すると突然ジャラール様の眼の色が変わります。
ぶっちゃけ
「おのれ俺の可愛いユウトに何しやがるユウトにそいうことをしていいのは俺だけですだから俺がやっちゃいます」
ということで、悠斗君はジャラール様の寵愛を受けるようになりました。すべてが終わったら二人でずっと一緒にいようと誓われ、ますます幸せ全開です。


そして、悠斗の決定的な情報によりお屋敷の主人の謀反が発覚、ついに主人はお縄になります。屋敷の人たちは悠斗をスパイと見抜き、殴る蹴るの暴行を加えたうえでさらに襲いかかってきました。何とか逃げ出しジャラール様のお屋敷に逃げ込もうとした悠斗君、しかしそこにはジャラール様の痕跡はまったく無く、「ここはさるお方の遊びに使っていた館だ」と言われてしまいます。
悠斗茫然、ジャラール様のことは名前しか知らず、どのような立場の人間かまでは教えられていないのです。
ジャラール様を信じたい、でも自分はただの「役に立つ道具」だったのかもしれない。用事が済んだからもういらないのかもしれない。どんどん残酷な現実を突き付けられ、悠斗君の心は壊されてしまいますが…。呆然と立ちすくむ悠斗の前に現れる一台の白いリムジン。そこから現れたのは、なんと脱走してきた主人だったのです。哀れ悠斗君、亡命を企てる主人に捕らえられ、追っ手から逃れるための盾にされてしまいます…。


ジャラール様、アラブの王子にしておくのもったいないくらいいい人でした。拉致も監禁も強姦も投薬もアイテム使用もしないんだよ!!アルディビルにもマトモな王族っているんだね!!
そういえば、ジャラール様は今までで一番身分が高いんじゃないかな?マリクなんかペーペーだと思います。
フェアリーテール(おとぎ話)とあらすじにもあるように、人魚姫のようなお話です。愛している人を殺すことはできず、自分を殺すことを選ぶ悠斗君、もうね、なんか。号泣ではないにしても、間違いなく泣けました。私こういうお話弱いんだよ~tt


シリーズものの4冊目でようやく涙が出ました。いとう先生のアルディビルシリーズはあと2冊、順番を間違えていたみたいです。2冊目のお話をまだ読んでなかったようなので、次はそちらを攻略、そうとうやりたい放題の馬鹿王子らしいです、ちょっと期待!!