★★★★☆  早く、俺のところにおいで…

雨がやんだら (ダリア文庫)

雨がやんだら (ダリア文庫)

 雑賀(漢方薬学オタクな好青年)× 郁(不倫に神経をすり減らす胃痛もち)  雑賀の男前度・ 激高! 


ドイツ語の翻訳を手がける雨宮郁は、月に一度、恋人に会いに出かける。一年半前に仕事で知り合った高橋とは不倫の関係だ。ある日、高橋に別れ話をされている現場を知り合いの薬剤師・雑賀徹志に見られてしまう。雑賀は東洋薬が専門で、趣味は流木集めという変わり者だ。その雑賀に「辛い恋なんかやめて、俺のところにこい」と言われるが…。ロマンチック・ラブストーリー。 (あらすじより)


受の郁は、ゲイであることに悩みつつどんどん内にこもってしまったタイプ。自分という存在を受け入れてくれる人を探してさまよううちに高橋という男性と出会い、受け入れてもらうも相手には家庭があって、終りが見えてるのにそれにしがみつこうとしている弱い存在。彼にとって高橋だけが「ゲイである自分を認めてくれる人間」なので失うことが耐えられないのだけど、高橋は家庭を選ぶ気満々であります。
月に一度会えるかどうか、連絡も取り合うことが出来ない脆い関係を続けるうちに、しっかり胃痛持ちとなってしまった郁は、祖母に付き合って不思議な漢方店に行くことになります。そこで薬剤師として出てきたのが、短髪で黒ぶち眼鏡、白衣を引っかけた雑賀だったんですね。
久しぶりに高橋からドライブに誘われ、喜んで海に出かける郁。しかし、突然別れを切り出されてしまい狼狽して取り乱し、海辺で修羅場。そんな時に偶然雑賀が流木を抱えて通り過ぎる。思い切りばれてしまった!気まずいッ!!と漢方店に行くことをためらう郁だけど、雑賀はどんどん郁に迫ってきちゃうんですよ。
雑賀は優しく手を差し伸べてくるのだが…郁、高橋を振り切れるかッ!!


紺野けいこ先生の効果もあったのか、攻の雑賀がめっさ男前でかっこいいこと!さりげなく郁をリードし、沈んだ心を浮上させて励ますところなんか男前すぎて吐きそうだ。こんな漢方店があったら行っちゃいそうだぜ!(でもゲイ)
ひどい男・高橋には、最初は「仕方ないよね、しょうがないよね」という同情的な見方をしていたのですが、最後の最後で「なんじゃこいつ、殺すッ」と思った。
でもここまでしたからこそ郁は過去を振り切る決心をつけたのかな、とか。そうすると憎まれ役を買った高橋は男前だったのではないか、とかも思ったりする。うーん、どうだろうかね。分かんねえけど、郁にとって『心から安らげる場所』が見つかったのだからそれでよかったのだろうな。