★★★★★  面白かったよ、マジで!!作る少年、食う男 (シャレード文庫)作者: 椹野道流,金ひかる出版社/メーカー: 二見書房発売日: 2005/07/27メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見る

 ウィルフレッド(北の死神と恐れられる検死官)×ハル(孤児院出の男娼)   ハルの可愛さ度・犯罪級


港町マーキスで検死官を務めるウィルフレッド。耳慣れぬ職業、銀髪に暗青色の瞳、高い身分を持ちながら社交界に出入りせず独り身を貫く彼はいつしか人々の間で「北の死神」と呼ばれるようになっていた。そんなウィルフレッドが出会ったのが、孤児院出身で男娼のハルだった。料理の勉強がしたいと屋敷に出入りするようになったハルは、ウィルフレッドに生きた人間の肌の温もりを感じさせた。それは北の国からこの街に流れ着いて初めて知る感情―、“愛しさ”を彼にもたらすようになる。ところが些細な行き違いからハルが街の荒くれ者たちに囚われ、嬲られるという事件が起こり…。男前で誠実な旦那様とはねっかえりな使用人兼助手が、近世ヨーロッパ風港町で巻き込まれる事件と恋の嵐。 (あらすじより)


あらすじを読むとわかるとおり、人との接触を絶った検死官のウィルフレッドが、とある酒場で男娼のハルと出会い、人とかかわる温かさを知るという話。ハルも孤児院育ちで人のぬくもりを知らず、成長して孤児院を出た後も知らない男にだまされて売り飛ばされてしまう。ハルには料理人になりたいという夢があり、ウィルフレッドの屋敷で料理を教えてもらうというかかわりを持っていくうちにお互いが意識しあうのですが…。
言葉がうまく伝わらない不器用なウィルフレッドがハルの為を思って言った言葉がハルの地雷に触れ、10日間の別離が訪れます。たった10日なんだけど、ウィルフレッド様が我慢できなくて執事を従えて酒場に乗り込んでいく。そこでハルはひどい目にあっているのだけど、ウィルフレッドは自分の体面よりも何をおいてもハルを優先する姿がとてもかっこよかった。ウィルフレッドが元外科医で良かったねって感じです。


正直すごいじれったいです。じれったいけど、嫌なじれったさじゃないんだな。なんというかこうドアの隙間から「んもう!!」とのぞいてたくなるような…w
執事のフライトさんがよくのぞいてますが、あの気持はとてもよくわかります。
ウィルフレッドは変わり者だけどとても誠実で真面目、ハルを心から大事に思ってるのがよくわかりました。ハルもウィルフレッドのために何ができるかを一生懸命考えて、お互いがお互いを想いあい、支えながらじわじわと歩み寄っていくところが良かった、これ続編もあと2冊あるのですが、読み飛ばしたりせずじっくり読んでいきたいと思います!!


ちなみに、初作家様です。『右手にメス〜』シリーズからつながり、『茨木さんと〜』を入手した関係で、予習のつもりでこの方の中古本を買ってみました。この方の文章、すげえ好きだ!!面白いし読みやすい、気持ちいい!!
久々に最後まで読み終わった直後にもう一度最初から読みなおしました。すっげえ面白かった!!
架空世界なのでファンタジーなのかと思いきや、シャーロックな雰囲気のためにリアリティもあり。はねっかえりのハルがかわいいのなんの。

それに私はイラストの金ひかる先生の絵を「珍しく小説の内容と合ってる」と思いました。金先生嫌いじゃないんだけど、小説の中身とイラストに違和感を感じる時もあるので…。これはよかったよ!!中古屋で見かけたら買うといい!


PS シャレード文庫はなぜ表紙の返しにより抜きを書くのかな。ちょっと恥ずかしいです。