★★★★☆ 美形トラウマ持ちの受は最強執事の特権 (SHYノベルス149)作者: 榎田尤利,佐々木久美子出版社/メーカー: 大洋図書発売日: 2006/01/26メディア: 新書 クリック: 3回この商品を含むブログ (16件) を見る

 仁(体育会系執事見習)×乙矢(潔癖症なわがままご主人)  受のトラウマ度・ヘビー級


「この仕事に必要なものは忍耐と経験、幅広い知識、そして寛容と自己犠牲です」業界大手の乃木坂製薬の営業職の面接に出向いた仁は、なぜか27人目の特別秘書候補として、執事である富益の執事教育を受けながら、乃木坂製薬経営企画室本部別室室長であり、創始者の孫である乙矢の住む屋敷で暮らすことになっていた。眠っているときの乙矢は美貌の貴公子さながらだが、現実は人に影を踏まれるのも嫌いな潔癖性で人間嫌いで毒舌家でわがままでひとりよがりで神経質な男で、仁はまるでバイ菌扱いを受けるはめに!バトラー・ラブ登場。 (あらすじより)


ああ、榎田さんだなあ、という感想をもった。
どうやら、私は受の過去になにかあってトラウマを抱えながらも強くあろうとする姿にグッとくるものがあるようです。
私の好きだった『愛と混乱のレストラン・高遠琉加/著』も受の理人の壮絶な過去があってこそのものだったし。


なんつうか、こうね。仁の『若いくせに落ち着きがあって腕っぷしもつよくて忍耐力と我慢もできて、でもお茶目』というキャラクターのおかげでこの話は救われてるんだろうなと思いました。受は確かにかわいそうだが、そればかりを強調してしまうとお話として読むのがすごい苦痛になってしまうからね。
バイ菌扱いされてしまう仁だけど、何とか距離を縮めないとと苦肉の策でチェス盤をはさんで毎晩慣れるように練習する。
触るといけないということで菜箸を使うことを強要される仁だけど、思わず乙矢にいたずらしてしまう。
そういうちょっとしたお茶目心とか、いろんなアイテムを使って二人をゆっくりと近づけていく描写は、榎田さんはうまいよなあと思った。


叔父の妨害で監禁されてしまった乙矢を仁が助けに乗り込むところで私は泣きましたが、あまりの痛々しさで感動というよりも同情で泣けた。
執事物としては異色っぽい(攻めが執事執事してない)なあと思ったけど、ラストはきれいにまとまってましたね♪