★★★★★  大きな子どもと大人な子どもディール (リンクスロマンス)作者: 水壬楓子,佐々木久美子出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス発売日: 2004/02/28メディア: 新書購入: 1人 クリック: 10回この商品を含むブログ (13件) を見る 延清(愛を知らないトップガード)×律(愛を知らない秘書)


 人材派遣会社『エスコート』で秘書を務める19歳の律は、ボディガード部門のトップ・ガードである延清と暮らしている。しかし、数えきれないほど抱かれていても、延清は「恋人」ではなく、「飼い主」だった。出会いは九ヵ月前。公園の片隅、見知らぬ男たちに襲われていた律を、身体を取引材料として延清が気まぐれに助けた日から、二人の関係は始まり―。(あらすじより)


エスコートシリーズの2冊目です。このシリーズは主人公が一冊ごとに変わるため、単体でも楽しめる新設設計ですが、途中でユカリとか志岐とかオーナーとかもちょろちょろと顔を出してファンにはうれしい心配りです(だからシリーズなんだけども)
今回は、1作目でもちょこっと顔を出していた律と、初顔のトップガード延清の不思議な関係のお話。重いのか軽いのか甘いのかわからない、ただの依存と言ってしまえない本当に不思議な関係。


律の人生はとても平坦とは言えず、母親の再婚相手の父親と義兄からは性的暴力を受け続けていた。
母親はそんな事実を見て見ぬふりをし、手に入れた生活を守ろうとした。律も母親がやっと手に入れた幸福を壊したくない、と必死に我慢をする。
それはだんだんエスカレートし、義兄からは不条理な要求も出されるようになっていた。
そんな折、義兄にだまされて公園で襲われてしまった律をぶらっと通りかかった延清が助ける。助ける条件としては、自分のいうことを聞くこと。
律はまだ延清の心の闇に気づかず、そのまま拾われてしまう。


延清の心の闇に触れるたび、少しづつ律の中で芽生える想い。延清の中の今まで思ったことのない感情。
そんな二人を見ていてまた号泣ですよ。


実はこれも、原作よりもCDが先だったんですよ(何やってんだ私)
CD聞いて思った感想は『やっぱこの人演技うまいよな〜』だけだったので、内容は本当に上滑りというか、全然入ってこなくて泣きどころも分からずそれっきりだったのです。そして、CDでは未収録の『ステップ』という話ですが。


延清が律に対する今まで感じたことのない理不尽な衝動に突き動かされる話。
これを書かないと、この二人の関係は全く伝わらないじゃないか!というくらい重要な話だったと思う。うーん、CDってさ、やっぱり原作を読んでいいなと思った人が補助的に聴くものなんだろうな、と自分的には思ったりした。というかさ、こういう深い話を1枚のCDで納めなきゃいけないってのが無理なのかなと思ったりした。はしょりすぎ。


律は懐が深くおおらかで、めちゃくちゃな延清をけなげに受け止め続ける。愛を知らない延清は、その感情が何なのか分からないまま律をそばに置き続けたいと願う。うああ、号泣でした。ええ話!!
シリーズはあと4冊、次は真城のお話ですって。