美しいこと(下) (Holly NOVELS)作者: 木原音瀬,日高ショーコ出版社/メーカー: スコラマガジン(蒼竜社)発売日: 2008/01/29メディア: 新書購入: 11人 クリック: 48回この商品を含むブログ (33件) を見る

 
 ★★★★★  感動度 MAX
寛末(優柔不断な男)×松岡(かわいそうなリーマン) 
 


松岡洋介は週に一度、美しく女装して街に出かけ、男達の視線を集めて楽しんでいた。
ある日、女の姿でナンパされ、散々な目に遭い途方に暮れていた松岡を優しく助けて
くれた男がいた。同じ会社で働く、不器用、トロいと評判の冴えない男、寛末だった。
女と誤解されたまま寛末と会ううちに、松岡は「好きだ」と告白される。友人になりたい
松岡は、女としてはもう会わないと決心するが…。
(あらすじより)


下巻です。
手に取るまでにかなり日数をかけました。上巻の続きが『松岡の幸福』にすんなり続いているとは思えなかったからです。というか、これ以上松岡をいじめるなって本気で思っていたので読むのが怖かったんだろうなあ。
松岡はなんとか『寛末の友達』としてでも一緒にいられるように努力し続けます。
しかし寛末の身の周りに変化がおこり、寛末の男としてのプライドで松岡を拒絶してしまいます。
追いすがる松岡、しかし寛末は自分のことで精いっぱいでいじらしい松岡を思いやる事も一切しません。
おのれ寛末、地獄の業火で焼かれてしまえ!と何度も思ったのですがそこが寛末なんですよね、我慢です。

寛末は結局松岡と別れます。
そして、そのまま疎遠になると思ったとたんに自分の中にいる松岡という存在が消えてほしくないことに気づいちゃうわけです。
本当自分勝手、寛末なんか天の雷に打たれてしまえばいいんだ!と何度も思ったのですがだんだん寛末のほうがおかしくなってきちゃうんですね。


再開、そしてその後の展開は神です。
上巻の冒頭を思い出しました。雨の中のぼろぼろの寛末、そしてその後。どうしても冷たくなりきれない優しい松岡。
恋心を自覚した寛末の行動にやられました。靴ですよ靴!
寛末の優しさを『怖い』という松岡、そして最後の列車からのメール。

なんというお話、私泣きましたよ。
恋について、の笹川も寛末によく似た自分勝手な思い込みの強い男でしたが、こいつは最強でしょう。
でも寛末が携帯灰皿に気づいてあげた時、本当によかったなとおもいましたよ。今まで寛末はそんな些細な松岡のいじらしさなんか全く気付かなかったのに。それだけ松岡のことをいしきしてあげられるようになったんだな、と。


結局想いが通じ合い、それでラストなんです。それ以上甘い展開はありませんでした。というか足りない、甘さが足りないよ!
あれじゃ松岡が今まで感じていた孤独や苦しみは癒せないだろう甘さをよこせ!
と最後まで読み終えて、全員プレゼントの小冊子の存在に気付きます。
あの後の二人を書いた書き下ろしが申込者全員に送られるそうな。あとがきで木原先生は『あの後二人はらぶらぶになる予定』なんつって書かれているので、きっとそうなるんだ。


うおおおおおお、申し込むしか!!


とにかく、よかったね松岡と言ってやりたい。あんな男のどこがいいんだろう、と言っていた松岡、きっと書き下ろしでは大事にされることだと信じたい。
あの鈍い寛末がどれだけやれるか分からないけど、松岡をしっかり幸せにしてやるとい。
いいお話でした、何度も泣いちゃったぜ!
みぃさん、おススメありがとう!!!すごいよかった!!