美しいこと(上) (Holly NOVELS)作者: 木原音瀬,日高ショーコ出版社/メーカー: スコラマガジン(蒼竜社)発売日: 2007/11/21メディア: 新書購入: 15人 クリック: 69回この商品を含むブログ (35件) を見る

★★★★☆  松岡が不憫度 高
 寛末(優しいけどうだつの上がらないリーマン)×松岡(女装癖のある好青年)


人を好きになるのは心ですか?それとも……。

松岡洋介には週に一度、女装して街に出かけるという密かな趣味があった。
ひょんなことから始まった女装は、道行く男達の視線を集めたことで楽しいイベントになっていた。
そんなある日、女の姿でナンパされた松岡は、食事ぐらいならと軽い気持ちでついて行ったはいいものの、大変な事態になり…!?
(あらすじより)


このお話はもっとたくさんの人に読んでいただきたいため、あらすじ(ネタばれ)を書きたくないのだなあ。
だから感想だけ。

最初にだました形になったのは松岡だけど、どんどん恋愛弱者になってボロボロになっていく姿がものすごい切なかった。
逆に、最初はだまされた形の寛末が優柔不断でグダグダ。おばあちゃんでも子供でも、あなたがどんな人でも愛せると言い切った寛末は結局『男』である松岡を愛せなかったんだよなあ。
きちんと線を引こうとする寛末、自分の姿は変わっても中身は変わらないのだから愛してもらえるはずと食い下がる松岡。

松岡にとって寛末は最初から寛末なのだけど、寛末にとっての松岡は結局『美しくて口のきけない潔い女性』を消してしまった男だったのだな、と。


上巻を読み終えて、あまりのことにちょっと呆然としてしまいすぐに下巻をとる気になれなかった。
松岡は大丈夫か!?感動というより、松岡があわれすぎて泣いてしまった。