■アラブ連読(漫画含む)12冊目・ついに号泣アラブに遭遇(私限定)

灼熱に濡れた花嫁 (シャレード文庫)

灼熱に濡れた花嫁 (シャレード文庫)

イード(沙維を求めて狂う王子)×沙維(王子のために身を引くけなげ美人)


留学先のイギリスで、同じ大学に通う中東某国の王族・ザイードと運命的な恋に落ちた沙維。だが王位継承権を持つザイードにとって同性の恋人はスキャンダルでしかなく、別れて欲しいという側近・マジャールの要求を聞き入れ、必死の思いで彼を振り帰国する。しかし二年後、突然何者かに襲われ意識を失った沙維が目覚めると、そこはザイードのハーレムだった。妾として繋がれ、変わり果てた彼から受ける容赦ない仕打ちに涙するが、次第に心はザイードを求め始める。そんな中、思いがけず熱い一夜を過ごしてしまったものの、叶わない想いを断ち切るためにハーレムを抜け出そうとする沙維に忍び寄るひとつの影が―。黄金の砂漠に巻き起こる、情熱のラブ・ロマンス。(あらすじより)


くそ、また王子が金髪だよ、黒髪黒目アゴヒゲの王子はどこにいるんだよ!みたいな感じで手に取って読んだと思います。


オックスフォード大学に在学中、ザイードはオリエンタルビューティの沙維を見染めて猛烈アタック、二人はラブラブのキャンパスライフを過ごしたのであります。そんなある日、一緒に在学しているザイードの側近が『ザイードは自国の王位継承の可能性を持っており、沙維の存在が彼のプラスにならない』ことを理由に別れてほしいと持ちかけます。沙維の心にも同じ思いがあったため、愛しいザイードのために断腸の思いで二度と会わないという念書にサインをします。ううう。
沙維は自分の心を封じて、彼が自分に未練を残さないようにわざとひどい男を演じてサイードを思い切り傷つけて帰国します。そして2年後…。


営業の帰りに付き合わされた接待の後、沙維は何者かに拉致され砂漠の国に連れてこられてしまいます。そこで待ってたのは、かつての穏やかな雰囲気を一切なくしたザイード様。ザイードは2年前に沙維に突然告げられた別れをうまく消化できず、沙維を求めるあまり心を病んでしまったのであります…。


自分のした行動のせいでサイードを傷つけてしまった、しかしサイードへの想いを口にすればサイードのスキャンダルになり、王位への道が閉ざされてしまう…という身動きの取れない沙維は、せめて自分がサイードに心を残していることを悟られないようにかたくなにサイードを拒絶し続けるんですよ。怒りまくるサイード様、媚薬攻撃等を繰り出して沙維をいじめるんですが高潔な沙維は何事にも屈することはないのです。


沙維は美人で健気、意志も強くて愛するサイードのためなら自分の事などどうなってもいいというすごい人。サイードは王位などどうでもよいので沙維と二人で歩んでいきたいだけなんですよ…。お互いが求めあってるのに!!何故!ここまでこんがらがってるのかッ!

大学時代は沙維とも友人だったという側近のせいなんですけどね。側近が沙維を遠ざけ、そうしたらザイードが心を病んでしまいあわてて沙維を日本から拉致、しかしサイードが心を落ち着かせて王位を継いだ暁には沙維をまたサイードから引き離して闇に葬る算段だったそうですよ。
おのれ沙維を何だと思ってんだ、側近ぬっ殺す!とか思って読んでいたんですが、最後のほうでは彼もひどく心を痛めてる感じでしたので許す方針です。


うおおおおおおおおお!!
ありがちなベタベタな話だとは思うですよ。でも、ぶっ飛んだ設定のアラブばかり読んでいたからこういうしっとり系のは久しぶりな感じで泣けます。
けなげ美人受とか、一途に受を愛するあまりおかしくなっちゃった王子様とか、受を心配しつつも主の未来のために自分を偽り続ける側近とか、そういうのが好きな方ならほろっとできると思う。
オイラこういう話駄目。スゲエ弱いんだよ!!
健気な受が攻に誤解され、それでも彼のために真実を飲み込んで耐え続けるとか言うの、本気で駄目。泣いちゃうから!
アラブでこんなに泣いたのは初めてでちょっと動揺しておりますが、いい話でした!!初作家様でした。この先生好きかも。