2年ほどBLを読んでまいりましたが、多分こんなに心を動かされた作品はなかったんじゃないかと思えるくらいのシリーズが完結しましたよ。
悪夢のような2巻のラストから待ちに待った発売日、amazonで予約していたんだけど発売日に届かなくて、我慢できなくて書店に走った。その書店ではシャレードの新刊「愛と混乱〜/高遠琉加」と「愛しているにもほどがある/中原一也」だけがごっそりなくなっていたし!!愛しているにも〜は奈良小冊子効果が利いているのかもしれないけど、愛と混乱までが売り切れってのはびびった。当日なのに!結局amazonを大人しく待って、27日にローソンにて無事受け取り、その日の夜に読了です。


   ■□■ 忙しい人のための愛と混乱のレストラン3部作 ■□■
愛と混乱のレストラン (二見シャレード文庫)美女と野獣と紳士―愛と混乱のレストラン〈2〉 (二見シャレード文庫)◆愛と混乱のレストラン1
赤字続きで休業に追い込まれたフレンチレストラン「ル・ジャルダン・デ・レーヴ」復活のため本社外食事業本部から出向してきた鷺沼理人は、若手シェフ・久我修司の引き抜きを試みる。確かな腕を持ちながら暴力沙汰を起こし、今は実家に戻っているという久我は、理人の依頼を「あんたが気に入らない」と言下に拒否する。それでも通い続けてくる理人に久我が提示した条件は「言うことをなんでも聞く」というとんでもないものだった。しかし、ある理由から店の再興を失敗できない理人はその崖っぷちの選択を呑むことに。“夢の庭”の実現は果たして―(あらすじより)


秘められた悲しい過去により心の底からレストランを拒絶するディレクトール・理人と、そんな理人を否定しつつもなにかにつけつっかかる俺様シェフ久我。お互いを意識し始めるもエロはない。しかしどことなく官能的なのは『食べる』という行為がどことなくエロティックだからなのかしら。理人がかわいい。かわいすぎて困るくらいかわいい。


◆愛と混乱のレストラン2・美女と紳士と野獣
久我をシェフに迎え、再スタートを切ったフレンチレストラン『ル・ジャルダン・デ・レーヴ』。「君が必要なんだ」―そう言って店を辞めようとした修司をなりふり構わず慰留した理人だが、彼には老輔の『ゴルド』を手中にするという野望があった。食への興味を持たず、上司の叶の助力を得てそれを成し遂げようとする理人。久我はそんな理人に対して嗜虐心と、心から料理を美味いと言わせたいという相反する気持ちが芽生えてしまう。お互いを意識し合う二人。ところが久我のフランス修業時代の恋人が店に現れて―(あらすじより)


お互いが意識し始めたものの、関係は相変わらずのディレクトールとシェフ。
嫉妬にも似た感情を久我の元恋人の『美女』に抱き、心の支えとして信頼していた『紳士』は別の顔を見せ始める。そしてついに『野獣』が嵐の如き力で理人をぶち壊していく。翻弄されてボロボロになってしまった理人はどうなってしまうのか――――――。理人がかわいそう。久我も叶部長もみんなタイミングが悪すぎる。誰が悪いんじゃないけど、かわいそう。


そして新刊。

唇にキス 舌の上に愛―愛と混乱のレストラン〈3〉 (二見シャレード文庫 た 2-13)

唇にキス 舌の上に愛―愛と混乱のレストラン〈3〉 (二見シャレード文庫 た 2-13)

 ★★★★★★★★★  君が好きだ。……嘘みたいだ。

貪るように理人のすべてを奪った久我。だが、理人は叶に攫われるように久我の前から姿を消してしまい。シリーズ完結巻!

瀟洒な一軒家のフレンチレストラン「ル・ジャルダン・デ・レーヴ」。支配人として出向してきた理人には、この店を足掛かりにフレンチの老舗「ゴルド」を買収するという目的があった。上司の叶はよき理解者だが、父に遺棄された理人は当時の思い出に絡む叶の想いを受めることができない。その理人の心をさらにかき乱すのは、シェフという立場を超え内面に迫ってくる久我の存在だった。怖いのに優しくて、出会ったときから自分を壊してしまうとわかっていた男――。嵐のように奪われた一夜が明け、理人の目の前にいたのはしかし。 (あらすじより)


3部作のラストにふさわしく、すべての答えが出ました。
久我の料理に対する思いのルーツが語られてる場面で涙。
叶部長が吐きだす未だ知らされていなかった真実に涙。理人がだんだん感情を取り戻していく過程が丁寧に静かに語られていきます。


理人の生きる原動力でもあった『ゴルド』が手に入るかもしれない、その代り『ル・ジャルダン・デ・レーヴ』が閉鎖される。夢がかなうはずなのに、理人は心がつぶれる思いをする。どこにも行く場所がない理人に「戻ってこい」と言ってくれる久我とスタッフ。その時、おぼろげながら理人は自分の行きたい場所を思い描き始めるんですな。
閉鎖が決まったあと、理人は客としてル・ジャルダン・デ・レーヴに行き、きちんと「食事」とむきあいます。そして、スタッフが「一人の客」として、理人をもてなすんですよ。ひとつの料理を口に入れるたび、理人が再生していくんです。泣きながらもちゃんと最後まで全部食べて、おいしいって言えた。もう、涙がボロボロでした。みんな魅力的なスタッフだ、このレストランはつぶしちゃいかん。
ちいさな理人が置き去りにされたレストランが[ゴルド]じゃなくて、[ル・ジャルダン・デ・レーヴ]だったらよかったのに。心から思った。
感動しすぎて、久々何かいたらいいか判んないけど、読んでよかったとおもった。


それにしても、叶部長はちょっと気の毒な気がする。でもどことなく「彼氏に娘を取られた父親」って感じだ。
けど、理人が幸せになって良かった、本当に欲しいものが手に入って本当に良かった!!
この本読んだことない人は絶対読んだ方がいい、エロはあまりないけど愛はあるから!!
待って良かったです。高遠先生ありがとう!!


◆あとがきにもう一冊あるって書いてあったんだけど、これはパティシエのイチの話だろうことはわかりました。
おいら、パティシエもだけど久我の弟が気になってしょうがない。あと、桃君も!
2巻を読んだ後は絶対「久我弟はぜったいイチが好き、だけどイチには好きな人がいて!!」みたいな話だと思っていたんだけど…どうだね先生!!