★★★☆☆  じゃあ優しくしてやってくださいアズがかわいそうじゃないかただ、優しくしたいだけ (キャラ文庫)作者: 水原とほる,山田ユギ出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2008/09/25メディア: 文庫この商品を含むブログ (4件) を見る隆次(あまり優しくないトレーダー)× アズ(天使のようなイタリアンハーフ)


放蕩三昧で親から勘当されながらも、今ではトレーダーとして悠々自適な生活を送っていた隆次。ある日、長い間疎遠だった叔父が訪ねてきて、子どもを預かってほしいと頼んできた。小柄で痩せっぽちの少年・アズ──ぼんやりしていて日本語も不得手なアズは、どうやらゲイの叔父の恋人らしい!? 叔父に押し切られるまま、期間限定でアズとの共同生活を始める隆次だが……。
イタリア人とのハーフだというアズは、痩せて色気の欠片もない未成年。抱く相手にもならず面倒なだけで、つい邪険にしてしまう。けれど隆次の言動に一喜一憂するアズは、全身で懐いてきて…!?他人のものだと知っていても、無垢な天使をこの手で汚したい―庇護欲と劣情が妖しくうねるアダルト・センシティブLOVE。 (あらすじより)


以前読んだ「恋をしてはいけない(吉田ナツ・著)」に導入部分がそっくりです。
主人公の主な収入源はトレーダーとか。知り合いが自分の恋人(保護対象者)を預けるとか。最初はまったくそんな気がないのに気付けば惹かれてくとか。きっとこれもテンプレなんでしょうねえ。


しかしこれは水原先生の作品ですから、そのまま隆次とアズがラブラブ全開でで叔父がふられちゃう、なんてそんな甘い展開じゃありません。当然のように痛くて苦しいんですが…なんというかこの本には水原先生特有の息のつまるような独特のアレがないんですよ。それでもやっぱり殴る蹴る縛るちょっと流血強姦等の少々衝撃的なシーンは出てくるんですけどね。途中出てくる隆次のセフレを背後から蹴りつけてやりたくなりました。


先生なんかいいことあったんですか?ってくらい、いつもの作風からは考えられないほど攻が優しい気がする!あまり人にやさしくしてやることが出来ない自分本位の隆次が、天使のようなアズを保護していくことによって人をいとおしいと思う心を目覚めさせていく。
アズは何かあるたびに、助けを求めるように叔父の名前を呼ぶんですよ。それを聞くたびに隆次は叔父に対する嫉妬心を募らせていくんです。
中盤から隆次は「アズに優しくしてあげたい」とアズの喜びそうなことをしてあげるんですが、相手がイタリアンなためか些細な事ですれ違ったりしてうまく心が通じない。そんなイライラ感もリアルに伝わってきて、なんか隆次に感情移入ですよ。

アズの正体はかなり後になって判明しますが、そこに行きつくまでの叔父に関する衝撃的展開はちょっとついていくのが大変でした…。隆次は叔父に対して憧れの眼差しで見ている部分があって、そんな叔父を失ってしまうことは相当きつかっただろうなあ、とおもいます。二人とも幸せになってほしい!