★★★☆☆   殺したいほどの想いって……………(絶句)くるおしく、きみを想う (アイノベルズ)作者: 沙野風結子,朝南かつみ出版社/メーカー: 雄飛発売日: 2007/03メディア: 単行本 クリック: 13回この商品を含むブログ (3件) を見る莉一(超絶鬼畜眼鏡医師)×航希(それでも彼が好きな弁護士)    実は航希はMだろう度 : 高


憧れたあの人は自分を憎んでいた―“殺したい”と想うほどに。13年前、彼に殺されかけた記憶と焦がれる想いを封じ、航希は弁護士としての道を歩み始めた。そんなとき、航希の元に兄が借金を残し失踪したとの知らせが入る。しかも、兄を崇拝し弟の航希を憎悪するあの男、莉一が現れ…。突然の再会に動揺する航希に、莉一は借金を背負う代償として兄の代わりとなるよう要求してきて―。 (あらすじより)


ええと、首を絞めている眼鏡が攻、全裸で首絞められている方が受です…。

この先生はとにかくハードでおっかない。何が出てくるか判んないし、とにかく痛いシーンが多いような気がする…。それでもサスペンス風の薄暗いBLは嫌いじゃないのでこれも入手していたのだ。でも表紙から漂う負のオーラに押されてしばらく放置していたんだ。


当時小学生だった航希は『お隣のかっこいいお兄さん』莉一にあこがれていた。両親は医者で金持ち、クールな見てくれもかっこいい、だけどどこか孤独をにじませている莉一。そんな彼に好意を持っていたけどうまく近づくことができなかった不器用な航希は『庭にボールを投げ入れる(しかも16回)』という小学生的発想でなんとか彼に近づく機会を作ろうとします。
航希には『要領のいい』兄がいて、うまく立ち回って莉一とあっという間に仲良くなってしまいます。二人で仲良く過ごすところを航希はいつもうらやましく窓の外から見つめています。いじましい……tt
ある日、航希は莉一が眠っている兄にキスをしている場面を偶然見てしまう。現場を見られた莉一は口封じのために航希を嵐の日に呼び出し、残酷な方法で殺そうとしました。それでも航希の中の彼を思う心はなくならず、ずっと心の奥にしまったまま13年の時がたってしまった。

要領のいい兄はホストとなり、兄の残した借金やらトラブルやらを全部ひっかぶってしまった航希。途方にくれる航希の前に、13年ぶりに莉一があらわれます。兄の残したもろもろの借金やら面倒を全部引き受ける代わりに、兄の変わりとして自分のいいなりになれと要求してくるんですよ。

莉一は『寝室でのみ』航希を兄の代わりとして見ます。航希の中の眠らせてあった恋心は日増しに大きくなり、ついに自分でも否定できなくなります。兄を見つめる莉一は自分を決して見ることはない、だったらなんでもいいから自分のできることで彼とつながっていたい、彼の力になりたい…。
このあたりですごい涙が出てきた…航希おまえけなげというかそこまで行くと病気だぞ!!


先生はやることがひどすぎです。正直、あの兄のどこが良かったのか見当もつきませんが、根底で求めていたのは実は航希の心であったのだろうなと勝手に解釈したりして。
思い違いをしていたことに気づく先生を全部許せてしまう航希にも、クリスマスに当然のように帰ってきちゃう兄にも唖然としてしまった。まあ、アレだ。それでも航希は莉一が好きだったんだろうな。本人がいいって言うならそれでいいじゃん的な終わりだったのですごいモヤモヤしてしまった…。
とりあえず、どんなに腕のいい天才心臓外科医であろうともこの先生にだけは手術してほしくねえなと思った。


最後まで読んで思ったこと。
 ■兄は航希に全力で土下座するべき
 ■莉一も航希に力いっぱい土下座するべき
 ■婚約者の女も節操がなさすぎる、やっぱり土下座するべき
 ■航希はもっと力いっぱい怒っていいと思う


■過去読んだこの先生の本(ハード物only)■

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弟×兄
大地雷。


各作品の随所に見られる痛いシーン。しかしそれをものともしないパワーを感じる!この薄暗い作風が好きだ!