★★★☆☆   冷静に考えたら極悪な攻…なはずなのだが!!恋をしてはいけない (ビーボーイノベルズ)作者: 吉田ナツ,高永ひなこ出版社/メーカー: ビブロス発売日: 2006/03/15メディア: 新書 クリック: 1回この商品を含むブログ (3件) を見る矢崎(バツイチの美形トレーダー)×啓(親友の恋人)   


──啓はだめだ。あの子は、親友の大事な恋人なんだから…!三週間だけ預かった少年・啓との生活は、矢崎には奇妙なほど心地よかった。 清楚な美貌の啓は、矢崎の親友と将来を約束している未成年。時々ふと影を感じさせるが、礼儀正しく明るい。 最初はただの好意だったのに、いつしか恋心は溢れ出す。抱きしめてキスしたら、一生自分を許せない…!?甘くて苦い、禁断の恋に涙する。小b大反響の純愛、再会編かきおろし(あらすじより)


amazonの書評ってすごく偏っててあまりあてにならないと思っていますが、この本はケチョンケチョン(死語)にたたかれてますね。
しかし、私はこれは結構好きだぞ!!


バツイチでイケメンの矢崎には10年来の親友、三田村がいる。
三田村はゲイで、現在は年下の恋人と同棲しているらしい。年下の恋人の精神が少々不安定だから、自分の3週間の出張の間一人にはしたくない、一緒にいてやってくれないかと頼まれてしまった矢崎。本当は御免こうむりたいのだがほかでもない大事な親友の頼みを聞いて『啓』を預かることになった。
一緒に暮らしていくうちに、自分たちの波長が合う事や素直な心などどんどん啓に惹かれていってしまう矢崎。
しかしだめだ彼は親友の恋人なんだ!!


矢崎に守られる心地よさに素直に自分をさらけ出し、深く傷ついた自分の家庭環境なども打ち明ける啓。そんな彼を大事に包み込んで守ってやりたいと感じてしまう矢崎!
だめだだめだ!!彼はッ親友のッツ彼氏ィィィィ!!!


三田村は自分を信用して啓を預けてくれた、そんな三田村を裏切りたくない。一線越えたら自分も啓もだめになる、と矢崎は理性を総動員させて欲望を抑え込むわけです。啓は心にいくつもの傷を隠し持っていて「本当は性的な接触は全く駄目」ということを三田村にすら打ち明けていない。そんな深い心の傷を啓は素直に矢崎にだけ(←ここポイント)見せるのですよ。そしていつしかどんどんと惹かれあう二人。
しかーし、何度も言うように彼は親友の彼氏なんだよ畜生ッ!!
しつこいですが、絶対好きになってはいけない相手なのです。


結果的に親友の三田村は啓を失う事になるのですが、「それが啓のため」ときちんと手を放してやれる人格者でした。『いい人ぶりやがって、ケッ!!』ってなりそうですが、啓があんな状態なのでしょうがないのかな、とか思ったり。あれが三田村なりの啓への『愛情』だったんだろうなと思うと、言われるほどムカつく話じゃない気がしました。啓がかわいそう。


初作家様でした。しかし!私はこの作家様、好きです。
情感がないとか、淡々としている語りとか言われるだろうけどおいらは好きだ。某人気先生が書かれる『超濃厚な心理描写やしつこいほど繰り返される状況説明文』なんかより、こうやってストレートにサラッと話をすすめてもらえるのっていいなと思ったりする。なんかこう、義月先生っぽい感じです。
この方の本は3冊しか出てないようで、もう2冊。ぜひ読んでみたいと思いました。


…まあ、実はこの設定自体おいらの地雷なんですが。その地雷を軽く飛び越えられる本だったのは、先生と私の波長があったんだろうと思う。好き。