★★★★☆ 20歳の引きこもりと素敵な菓子職人の兄さん!!!ビター・スイート・レシピ (ディアプラス文庫)作者: 月村奎,佐倉ハイジ出版社/メーカー: 新書館発売日: 2008/07/10メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (7件) を見る宇佐美(素敵な焼き菓子職人30歳)×健太(人生に疲れた引きこもり20歳) 明るい月村度 : 高
一年近くひきこもりを続ける健太。亡き祖母の住居兼店舗で、現実逃避にレース編みをしてひとり、暮らしている。そこへある日、宇佐見という男が訪ねてきた。長くシャッターを降ろしたきりのこの店で、焼菓子専門店を開きたいというのだ。店を貸すことになった健太は、夢と希望に満ちた宇佐見のペースに巻き込まれるうち、彼に惹かれている自分に気付き…?ほんのり苦くてほんのり甘い、ラブ・アソートメント。 (あらすじより)
夏の月村先生は明るかった!
月村先生は泣けたり泣けなかったりします。泣けなくても、読後にじわっと温かさが来るというか…温度を感じる作家様で好きなのです。
私の歴代泣けるBLランキングでは、この先生の「もう一つのドア」が常に1位を行ったり来たりしているんですよ。もう一つの〜を超える作品って私の中ではなかなかなくて、アレをベースに泣ける、泣けないと判断してしまいます。
んで、この本は月村先生の『泣けないけどじわっと温かさが来る』ほうのお話でした。
健太がなぜ引きこもってしまうほど追いつめられてたのか、それが第一話でしっかりと語られるのですが…。
実際私は健太のように、できて当然と親に期待されてたりとか、できのいい兄に比べられたりとかは全くなかった(むしろ放任)んですが。健太の張りつめた意識がぷつっと切れてしまった瞬間とかがすごいしっかり書かれていて可哀想で、なんかこう「むりすんなしばらく休みなよ」と言ってあげたくなりました。
現実から逃げ、すべてから逃げ続けている健太の前に、素敵菓子職人の宇佐美さんが現れます。飄々としているようで鋭く、それでいて健太を必要以上に追い詰めない。内へ内へと逃げてしまう健太を、無理にではなくおおらかで包み込むように太陽の下に少しずつ導いてやるんです。健太にはできのいい兄さんがいたりして、その兄さんがなんとか健太を更生させようとスパルタ方式で訪問します。そうしてどんどん追い込まれる健太をきちんと守り、兄さんの立場も思いやって両方ともうまくなだめていく、そんな宇佐美さんは本当にかっこよかった!
ああこんな素敵宇佐美さんがいる菓子店に行ってみたい!と思えるほどでした。
2話目は、よくBLで見かける『えッ宇佐美の過去の恋人出現!?』と『なんか宇佐美さん俺に手を出してこないんだけどなんでだろ、俺に魅力がないからか?と不安になる健太』の話。
ありがちですが、元来引きこもりで自分に極端に自信を持てない健太には深刻な悩みです。自分なんか素敵宇佐美さんの隣にいるのが不釣り合いだと真剣になやんじゃったりするんです。チョロチョロとうろつくあて馬の人もムカつく言動を繰り返しますが、憎めませんよ!
イラストも優しい感じで良かったと思う!
ただ、ラストちかくの濡れ場のイラストは…あのアングルってなかなか見かけない斬新な構図だと思った。宇佐美さんの尻!
自分的・月村作品におけるナイス攻め様ランク
1位 もう一つのドア(三夜沢・建築士) 無愛想で不器用、わかりにくい愛情で不幸な受を包むぜ!
2位 そして恋が始まる/いつか青空の下で(浅海・司法書士) どこまでも真摯な方。世間の風から受を守るぜ!!
3位 ビター・スィート・レシピ(宇佐美・素敵菓子職人) 明るく男前、でも受を思う気持ちは誰にも負けないぜ!!!
月村先生の攻は人間的にすげえいいとおもう!好きだ!!