★★★★★  徹底的に不幸を背負う瑞樹と自分勝手な義兄!(涙)

たとえこの恋が罪であっても (SHYノベルス)

たとえこの恋が罪であっても (SHYノベルス)

 アルフレッド(自分勝手すぎる義兄)× 瑞樹(不幸を一心に背負う子)  涙腺直撃度・ 眼科送り級 


「そんなに男が欲しいなら、おれが代わりをしてやろう」!?母の死により実父にひきとられた瑞樹は、誰ひとり知る者のいない異国であるイギリスのパブリックスクールに入り、そこでひとりの男と出逢う。父の再婚相手の連れ子であり、生徒達から憧憬を集める義兄のアルフレッドだ。だが、男好きで問題ばかり起こした亡き母の子どもとして、瑞樹は冷たい視線に晒される。頑張ろう、くじけちゃいけない。健気に毎日を過ごす瑞樹にアルフレッドは次第に惹かれるのだが、ある日の午後、全裸で男に仕えている瑞樹の姿を見てしまい…。 (あらすじより)



胃が痛いよう、何でここまで瑞樹は不幸にならなきゃならないんだよう。


瑞樹の母親は奔放な女性で、イギリスの貴族をたらしこんで妊娠して日本に帰国。そして生まれた邪魔な瑞樹を療養院に置き去りにして居なくなったらしい。母親の顔も知らずに育った瑞樹は、刃物沙汰により母親が死亡し、親権が父親に移ったことによりイギリスに行かなくてはならなくなります。

今まで療養院ですごし、家族というものを知らなかった瑞樹はほのかな期待を抱きますが、そこでも居場所がなく、父親にも徹底的に無視されます。母親はイギリスで貴族の父に養育費をガンガン請求して吸い取っていたらしい。家名を貶めた女の子どもという事で、瑞樹はひどい扱いを受けます。
血のつながらない兄アルフレッドと、半分血のつながったエドワード。二人の立派な兄が在籍するパブリックスクールに瑞樹も放り込まれますが、由緒正しいパブリックスクールの中では明らかに異分子で浮いた存在の瑞希は徹底的ないじめに合う。当然のことながら、兄二人も瑞樹を放置ですが…。


しかし、無愛想でそっけないアルフレッドだけは、寮長という立場もあり、頭の隅に瑞樹を意識していじめからさりげなく守ったりしている。そっけなさの中にも不器用な優しさが見え隠れするアルフレッドに、唯一のぬくもりを感じて瑞樹はアルフレッドにだけ心をほんの少し開く。アルフレッドは無邪気に懐き自分を慕う瑞樹をだんだんいとしいと思うようになっていく。
それを面白く思わないエドワードは、瑞樹にある罠を仕掛けて、アルフレッドに誤解させるように仕向けます。


くそ、きたないぞエドワード!それでも英国紳士かてめえ!!


エドワードの策略により頭の固いアルフレッドは瑞樹に対して激しい誤解を抱き、全く救いの手を差し伸べなくなる。そしていじめはさらにエスカレートしていきます。
クリスマス休暇に入り、屋敷に帰ってからも徹底して無視される瑞樹。かわいそうすぎる。小公女セーラよりひどい!痛い!!
とにかくいじめ描写が徹底しています。イジメ、カコワルイ!!!(前園)


でも瑞樹はけなげに耐え続けます。日本の療養院から出る時にお守りとして渡された袋を大切に守り、そこの中にいる神様に話しかけて自分を守っています。しかし、誤解に次ぐ誤解でアルフレッドは暴走、ついに自分の中で最低な結論を出して瑞樹に襲い掛かります。


だからどうしてそういう考えになるんだアルフレッド!!最低だぞ貴様それでも英国紳士か!


堪えて耐えて耐えて、最後まで強く自分を持とうとした瑞樹がアルフレッドに絶望し「もう駄目なんだ」と吐きだした時、涙腺は決壊です。
クライマックスで、アルフレッドに対して瑞樹がすべてを諦めて語るシーンは涙でかすんでページがめくれなくなりました。泣けるとか感動とか、そういうレベルではない涙です。
なにこれ、私の目玉をどうする気!?というくらい直撃で号泣しました。
なんというか、前回泣きまくったラブレターとは明らかに違う質の涙です。そうだ、六青みつみ先生だ!騎士とか蟲とか蒼い海とか、あんな感じだ!!


最後はBLなのでちゃんとハッピーエンドになりましたが、それまでさんざん好き勝手にいじめたエドワードがしれっとしてたり、当り前のようにアルフレッドが瑞樹の所有権を主張していたりしてたのが、なんかなあ。とりあえずまあ、やつら全員のケツを蹴りあげてやりたくなりました。
でも瑞樹が最後は幸せそうだったから良かったよほんと。
おススメいただいてありがとう花梨さん、半端じゃなくすごい泣けましたよこれ!!