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     これは、ラブレターなんだろうと、そう思った。広海からの、最初で最後の。

ラブレター (リンクスロマンス)

ラブレター (リンクスロマンス)

 良平(冷たい『長兄』)× 広海(けなげすぎる『弟』)   眼球溶解度・ すでに殺人級 


両親を亡くし、父の友人だった安井の家にひきとられた広海。ともに暮らすうち、ぶっきらぼうだが優しい長男の良平に惹かれ告白するが、ふられてしまう。二年後、報われぬ恋心を抱えたまま、広海は一人暮らしをしている良平のもとを訪れ、三日間だけという約束で、泊めてもらうことになる。見返りが欲しくて、恋をしたわけじゃないけれど、良平に冷たい態度を取られるたび、胸は痛んで―。安井家の次男・康平の恋を描いたリンク作『遠い花火』も収録。 (あらすじより)


リンクスは私的号泣レーベルです。さらにページを開くと、なんと私の大好きな二段組。やった、これは期待できるぞ。


〜〜 ただいま54pをめくったところ、涙で目がかすんで仕方ないのでアイボン 〜〜

肉親を亡くし、行き場所を亡くした広海が安井家に引き取られて、そして良平と出会う。良平のぶっきらぼうだが優しい心や、気遣ってくれる手のひらの安心感に淡い恋心を抱く。そして2年前、広海は意を決して一世一代の『告白』をかましますが、すげなく振られてしまった。その後、良平は大学進学のために家を出て、家にもよりつかなくなる。
諦めきれない広海は心の中に恋心をしまったまま、ずっと思い続けるのだが…。

現時点で良平、ひどい男です。広海こんなやつやめてしまえと何度も思いました。だってひどいんだよこいつ、冷たいなんてレベルじゃないぞ!!
広海はつらくても笑う、とにかく心の中に隠す。とても気持ちがわかるうえ、けなげでしかもはかなげで、それでいて強い。竹みたいな感じだ。
それゆえ、この仕打ちはあんまりだぞ良平!!でも良平の気持ちもわからんでもないんだなあ…どうなるんだこいつら!!メソメソ。


〜〜  読了しました  〜〜
あまりの泣けっぷりに54pから停止していた『ラブレター』ですが、ようやく読み終わりました。
私のアイボンは近年まれに見る減りっぷりです。いや、何と言うかこう、ああよく泣いたな〜という感想です。


広海はいろんな事を全部飲みこんで心にしまい、自分の中で結論を出して行動していました。それは読者にも明かされていなくて、私もきっと良平とおなじ驚きをしたと思います。普通、受視点で進む時は受け君は心の中でとてもよくしゃべります。それによって読者はシンクロしていくものなんだと思っていたんですが…こんなこと考えてたのか広海!
何もかもがあかされた時、私の涙腺決壊です。これは泣ける、うん、泣けるぞ!!
そのあとの展開はベタというかまあ、BLのお約束展開と続くんですが。
私の中ではもう『広海をいじめたらお前を泣かす!』という気持ちでいっぱいで、広海の幸福が素直にうれしかったですよ。よかった!!


驚いたのは、その後に『良平の弟』の話が載っていたこと。そのボリュームたるや、トータルで文庫2冊分に匹敵するくらい(エロ作家の文庫なら3冊分位?)でした。さすが2段組、読み応え有り!!
そこでも康平(弟)が幼馴染の受け君に対してグルグルしていました。兄をさんざんヘタレ扱いしてなじっていた弟君ですが、似たもの兄弟です。ぬくもりを求め、あきらめることで自分を守ってきたというかわいそうな受君を大事にしてやってほしい!


いつものレビューよりも内容を極力抑えています。というのも、この本はネタばれというかストーリーを知らない方が面白いからっ!ぜひ読みましょう、そして泣きながらアイボンしよう!!


イラストは金先生、私はこの先生好きだけど今回の絵はいつもとちょっと違うなと感じた。なんかこう、いつもより丁寧な気がした。きっと金先生、この作品好きなんだぜw
実は読み終わった後、あまりの泣けっぷりで途中ぬかしちゃった場面もあったのでもう一度最初からじっくり読みなおしました。この作家様、好きだ!
ベタでもお約束でもいいじゃない、素敵な涙をどうもありがとう!