★★★☆☆  受の不幸はハイパー級

篝火の塔、沈黙の唇 (幻冬舎ルチル文庫)

篝火の塔、沈黙の唇 (幻冬舎ルチル文庫)

 十左(椿の父を切り殺した罪人)×椿(盲目の灯台守)   椿の痛々しさ度・アイタタタ級


島の灯台に幽閉され、腹違いの兄達の慰みものにされている椿は、敷島子爵家の嫡男として生まれた。しかし生まれてすぐ盲目となったため、家を継げず、今は兄二人に嬲られる日々を送っている。ある日、椿のもとに十左という男がやって来る。十左は椿を救おうとしたとはいえ、椿から父の庇護を奪った男だった。名を隠し椿の世話係となった十左は、兄達に仕込まれた薬で苦しむ椿を慰める。やがて二人は心を通わせ始めるが…。 (あらすじより)


生まれてすぐ盲目となってしまい家督を継げなくなった嫡男の椿。
お庭番として奉公していた没落武士の息子・十左は、椿に虐待を加える父親を激情のままに切り殺してしまう。助けを求める声に突き動かされたとはいえ、主人を殺すという大罪を犯した十左は罪人として厳しい労働を課せられていた。
一方、助かったはずの椿は、今度は腹違いの兄二人に貶められ、孤島の灯台に幽閉されてしまった。
兄たちは定期的にやってきては椿に虐待の限りを尽くすが、数々の凌辱に黙って耐え続ける椿。孤島がゆえに食料も物資も船が来ないと飢えて死んでしまうため、世話周りをしてくれる乳母のためにも耐え続ける。
そして5年後、兄たちは椿への嫌がらせとして『父殺し』の十左を灯台に送り込んでくる。椿は盲目なため、声を出さなければ十左だと気づかれないと『声が出ない』ふりをし続ける十左だけど…。


…なんというか、兄二人を背後から青龍刀で切りつけたくなりました。
とても物悲しいお話で、最後は食料も付き、何とか生きながらえさせようと雨水を集めて椿に与えようとする十左が哀れでした。


とまあ、ひどく辛くて痛くて悲しいお話ではあるのですが。泣けなかったんですよこれが。
なぜと言われると困るのですが、ハッキリ言えることは「文体が嫌い」ということだと思います。
六青みつみ先生が描かれるような「受が徹底的にいじめられる」のは泣けるのに、ここまで痛めつけられる受をみて泣けないのはやっぱり文章が好みじゃないからだと思われます。難しい言いまわしと、変な区切り。「そういう雰囲気です」と言われればそれまでなのでしょうが、私はこういうすごく読むのに時間がかかって読んだ後にがっくり疲れる文章はつらいです。

きっと私だけだろうな。お話的にはとても切ない透明なお話だと思う。六青先生に書き直してもらえたらオイラ大泣きできるな、と失礼なことを思ったりした。