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 飛滝(顔のない天才俳優)×音彦(駈け出し俳優)   飛滝の演技度・未知


新人俳優の音彦に、大手映画会社から出演依頼が舞い込んだ。相手役は天才俳優と名高い飛滝。けれど、出演条件は飛滝と同居すること!?映画の設定通り、兄弟として暮らし始めたとたん、“兄”として必要以上に甘やかし、触れてくる飛滝。毎夜“弟”を抱きしめて眠る飛滝に、音彦は不安を募らせる。そしてついに、兄弟の一線を越える夜が訪れて!?バックステージ・セクシャルLOVE。 (あらすじより)


5歳でデビューしてからずっとトップクラスの演技力をほこる飛滝は謎めいた天才俳優。一方の音彦は顔が奇麗なだけの使い捨てにされそうな若手俳優。主演したことも一度もなく、このまま埋もれていく運命なのかと悲観していたところを一人の監督に見出される。その条件とは、謎めいた天才・飛滝の弟役としてスクリーンに出る事。そして、撮影までの間、本当の兄弟のように一緒に暮らすようにと命じられる。
すこし行き過ぎた愛情をお互いに抱える役柄なので、そのとおりに触れてくる飛滝を拒むこともできず、完全な演技からどこまでが演技だかわからず悩み続ける音彦。音彦の役は序盤に死んでしまう、その時に飛滝が受ける衝撃を考えて役を投げようとするが…。


不思議な話だったなあ。飛滝は少し心が歪んでいる攻で、どこまでが本当の飛滝で何が演技なのか読み手にも音彦にもわかりません。演技が終わるとその役から自分に帰ってくることが出来ない飛滝を音彦がなんとかして引きずりあげる、そんな関係がとても不思議な感じでした。飛滝には過去の経験より自分というものがからっぽで、何かを演じることでしか自分を保てない、そんな飛滝を何とか助けようとする音彦がとてもよかった。
これ、すごい読み応えがあって面白かった!シリーズは3冊あるようで、あと一冊、どこかで調達したいなと思う。
イラストの北畠先生は超大好きです。透明感のある絵柄で、この方のイラストならヘタレな私でも図書館だろうが店頭だろうが買えそう。
たとえ全裸でも、風呂入ってても…。


ちなみに、この作家様の本はレーベルによってなのか気分なのか、お話によってめちゃくちゃ印象が違います。
水の記憶シリーズで感動して泣いたあとに、バレンタインシリーズを読んだことがある。ショコラティエの攻が自分のアレの形をしたチョコレートをつくって受が喰うというとってもハイパーでハイテンションなお話を読んで衝撃をうけました。この作家様、引出ありすぎ。