★★★☆☆  たぶん、私は期待しすぎちゃったのだ恋雪 (SHYノベルズ)作者: 砂原糖子,木下けい子出版社/メーカー: 大洋図書発売日: 2007/07/18メディア: 新書 クリック: 1回この商品を含むブログ (8件) を見る

 成明(不誠実な劇団員)×湊(からっぽな幼馴染)   受も攻もイライライラ度 ・ 高


「いつか必ず迎えに来るから、向こうで一緒に暮らそう」そう言って島から去った幼馴染みの成明を信じ東京に来た湊だったが、成明は劇団の仕事が忙しく、冷たかった。それでも、成明が酔って帰ってきた日に結ばれ、喜ぶ湊だった。しかし、実は成明には好きな女がいて、その代わりに抱かれたことを知りショックを受ける。そんなとき湊に俳優になることを薦めるプロデューサー柏木が現れて・・・!?クールで強引な成明と素直で従順な湊が東京で繰り広げる、切なく擦れ違う恋物語。 (あらすじより)


私はこの先生好きです。いつも切なくて泣かされるし、この先生の書く受は私のストライクです。いつもは。ええ、いつもはそうなんですけどね。

なーんつうか、自分勝手な攻にも、なぜこの攻をずっと好きでい続けるのかわからない受にもイライラし始めて、正直お話の真ん中くらいまでは頭の中をスルーしていきました。途中何度も波乱もあり、危機も修羅場も別離もてんこ盛りなんですよ。しかしそのたびに『おまえここは泣くポイントだろうがよ』と自分に言ってみるのだけど、涙も出てこないしどことなく乾いた雰囲気。あれえええ。

まず、攻が嫌い。こんな自分勝手な攻は久しぶりです。しかもすごい嫌なリアルさをもった傲慢さ。狭い北の島で、同級生は二人きり。そんな環境で友情が愛情に変化してしまうのは仕方がなかったとはいえ、ちゃんと湊に『迎えに来るから』と約束を交わしているはずなのに都会の波にもまれてそんなことはすっかり忘れてしまっている。しかも、島にいた時のままの純朴さで成明の処にきた湊を疎ましく思う。しかし、現在惚れている女を湊にかぶせてうっかり手を出して大後悔。
うおおおお最低だキサマ!!


いつもの自分だったらそこで受の湊に感情移入して、けなげな湊を応援目線で泣きながら読むはずなんだけど、どうにも湊も歯切れが悪い。自分を好きな女の身代わりにして抱いた、ということを確認した後、彼の住処から出て行くんだけど…。


プロデューサーの柏木と傷の舐め合いのような関係を築きつつ、抜け殻のように生活していく空虚な湊と、失ってようやく湊の思いと彼の生い立ちを理解した成明とがまた運命の糸で結ばれていく後半から、ようやくお話に入り始めたんだな。
でもおいら、これはちょっとイヤだ。というか、期待しすぎた。最近どうも切ない系の泣けるお話にあたれなくて『これは鉄板!』と手を出した本だったので、期待が発酵しすぎて腐っちゃってたのかな、とも思います。
最後はちゃんと想いを確かめ合って、二人で夢を追いかけていく…のですが。
木綿のハンカチーフ(古ッ)なお話でした。切なさは全開で、この攻を許せて受を手放しで応援できる方ならちゃんと泣けるはず。私だって、1年前ならちゃんと泣けたはずですが…今のスレ切った自分では泣けなかった。残念。