★★★★☆  純粋なゲイの、初めての『恋のはなし』

恋のはなし (1) (ディアプラス文庫)

恋のはなし (1) (ディアプラス文庫)

 新田(性格の悪い女好きの脚本家)×多和田(恋に恋する29歳ゲイ)  受には幸せになっていただきたい度 高      

テルマンの多和田はゲイである己に罪悪感を抱き、29歳になるこの年まで恋愛経験がなかった。ある日、親友の石野から男性を紹介されることになる。待ち合わせ場所に現れた男に多和田は一目で惹かれるが、実はそれは別人。来られなくなった相手の代わりに伝言を頼まれた石野の従兄弟・新山が、美貌なのに初心な多和田に興味を覚え、ゲイのふりで話を合わせていたのだ…。偽りから始まるトゥルーラブストーリー
(あらすじより)


テルマンってかっこいいですよね(いきなりですが)
私の知り合いにいい歳のホテルマンがいらっしゃるのですが、いつも背筋を反るくらい伸ばしてコンパスみたいに歩いてるですよ。酒の飲み方も優雅だし、伝票を渡すしぐさも優雅。まあ顔は馬面(木曽馬)なのですがホテルでお仕事してる時に会うと2割増かっこよく見えてしまうんですがね。
そんなホテルマンの多和田は(強引だなオイ)自分がゲイであることを自覚して以来、ずっと片思いを繰り返しては自己嫌悪して人を好きになることをあきらめて生きています。しかし親友から『自分とおなじ性癖』の男性を紹介されることになって初めて『この人のことを、好きになっていいんだ』と思うんですがね。ゲイであることに罪悪感を覚えて劣等感の塊だった多和田が初めて恋をすることになった相手は性格が悪くて女好き。
もうね、新田が最低で最低でどうしようもないのだけど、いつしか純粋な多和田にどんどん変えられてしまって行くんですよ。でも根底を流れる性格の悪さは相変わらず。
やっぱりこの方の本はどこかせつないのね。初めての恋に振り回される多和田にはぜひ幸せになっていただきたいなあとおもうわけです。