もうひとつのドア (ディアプラス文庫)

もうひとつのドア (ディアプラス文庫)

 三夜沢(無愛想な建築家)×広海(不幸な生い立ちの17歳)  ★★★★★  泣ける度・120%


―きみはこれからきっと幸せになれる。生きる希望もなく、不幸に慣らされていた広海にそう言ってくれたのは、大きくてあたたかい手を持つ、三夜沢だった…。理不尽な借金に追われる十七歳の広海は、バイト先に客として現れた少女とその父親・三夜沢と知り合う。娘に冷たく見えた男にはじめは反発を覚えるものの、いつしか三夜沢の不器用なやさしさに惹かれ…。 (あらすじより)


広海は生れた時から父親がおらず、母親は自分を一度も愛してくれない。母親のヒモの男は気まぐれに現れて自分を殴りつける。
そんな生活を強いられてきた青年がパン屋のバイト中かわいい女の子と無愛想な父親・三夜沢に遭遇する。
女の子にきつく当たる父親を見て、なんだか自分とダブらせてしまった広海は、女の子と仲良くなっていく。ひょんなことから子守のバイトとして彼らの家に通うことになるのだが、相変わらず無愛想な三夜沢とはそりが合わずに衝突ばかり。


母の自殺後、広海にたかり続ける元ヒモの男に自分の養育費を返すためにただひたすらバイトを続ける。それが彼の心を支える唯一の『存在意義』となっているのが切ない!今までだれにも愛されず誰も愛さず、暗い部屋で一人で生きてきたのだけど、だんだん人を信用するということを覚えていくんですね。
彼がね、自分の中に何かしらの欲求を見つけるたび静かにあきらめるんですよ。自分には分不相応と最初からあきらめ、ただ想像して楽しむだけ。三夜沢への想いを自覚した後もただひたすら隠して想うのみ。切ない!!


図書館から借りた本ですが、号泣でした!!!
たぶんこれは私の今までのBL人生の中で一番の号泣ものかもしれない!!
月村さんの本は自分的にあたりはずれがあって(失礼)苦手だったのだけどこれはすごいよかった。
泣きたい人は読むといい!!