証言開始 『過去の剥離骨折について』

本日は集会があり、バスに乗ることになった。
いつものバス停が工事中、少し手前で停車するとのアナウンスがあり、私は必死にそっちに向かって走った。

遅れるとマジでやばいバスに追いつく5秒前。
私の足が、曲がってはいけない方向に曲がった。
グギャっという音が聞こえた。
ああ、やっちゃったなあと思った。
頭の中には松井秀樹の左手首がフラッシュバックした。

バスに乗り込むと、知り合いが何人か乗っていて笑っていた。
そのうちの一人が「nonさん、みちゃったよー、大丈夫?」と話しかけてきたのでぜんぜん大丈夫じゃなかったのに「多分大丈夫だよ」と返した。


会議は踊り長引き、私の足はパンパンに腫れて、靴が履けないほどだ。
行きのバスに乗っていた面子が帰りにも乗っている。
私の様子がおかしい(顔面蒼白であぶらあせ)事に気づいた一人が、事情説明を求めてきたので証言開始。
「行きのバスに乗るとき足首をやっちゃって、パンパンに腫れて歩けない」
私の足をみた全員が口をそろえて「医者に行け」といった。
保険証を持っていないからお金がない、というと「私の有り金全部持っていきな」と2千円差し出してくれた。
ごめん、たりない。おいら、保険証持ってないから今日は実費で取られると思う。
そう言ったらほかの方が諭吉を貸してくれて、バスの運ちゃんは整形外科に横付けで止めてくれた。
みんなに見送られながら私はその整骨院に入った。死ぬほど恥ずかしかった。


検査結果は「強力な捻挫」だったのだけども。
医者の様子がおかしい。しきりに「うーん」といっているので説明を求めた。
nonさん、こっち痛くない?痛くない?と腫れている部分の反対側の内側を気にしている。
そこは痛くない、というと、首を傾げられた。レントゲンを見せられ、説明される。


『あなたのここ、剥離骨折してましたね』


えーー、私今まで骨折したことないことが自慢だったのにしてたんですか。
過去形で、しかも無理やり自然治癒って、何ですか先生。事件発生はそんなに前ではないらしい。
『相当痛かったはずだけど』といわれ、思い起こすけど思い当たる節がありすぎて特定できない。
まあ、今回は骨折してなかったからいいか、とびっこを引きながら家路に着いた。

今、足がパンパン。早く晴れが引かないと大変なことになりそうだ。