■アラブ連読(漫画含む)11冊目・ありがちな嫁入り物語(って言っちゃだめですかね)

千夜一夜に愛が降る (アルルノベルス)

千夜一夜に愛が降る (アルルノベルス)

ジャリール(サマールの次期国王、日本からの嫁に執着)×七生(姉の代わりにお嫁入り)


熱砂の国サマールの皇太子・ジャリールの妃として迎えられる七生の溜め息は重かった。両親の会社を救うために自分は周囲を欺き、偽りの婚礼を遂げねばならないのだ。王者の威厳を放ち、雄々しくも寛容さの滲むジャリールと対面して、彼の魅力を感じる程その心苦しさは増していく。しかし、婚礼の儀が終わり初夜を迎えると、ジャリールは人を屈服させることに慣れた傲慢な顔を曝す。弱みにつけ込む囁きと甘い毒の様な快感に支配され、七生は―。(あらすじより)


王子は金髪じゃない、とりあえずこれだけでおk!見てくれはやっぱり大事だよ…。


サマールの先代国王と七生の祖母はかつて愛を囁き合った仲。結局は時代に引き裂かれてしまい悲恋に終わったんですが、その時に「いつか自分の子孫が結婚して子供ができるとええのう」と誓い合ったらしいんですね。
んで、それをかなえるために孫にあたるジャリールが七生の姉に求婚、家業が傾いている七生の家は援助を期待し、それを歓喜して受けるんですが、恋人のいる姉は冗談じゃねえとばかりに駆け落ちしてしまいました。
援助をあきらめきれない両親は七生を姉に化けさせてジャリールのもとに嫁がせちゃう!みたいな話。
ありがち…っていうか、BL界では結構ありそうな話ですね。最後までいろんなことが中途半端に終わっちゃって不完全燃焼です。


突っ込みどころとして
・普通服脱いだらすぐばれそうなもんですが、それでも援助のために送り出す親。普通考えたらコケにされたと怒るってことに気づくはず…。
・ハーレム内のいじめが中途半端だ、もっとこう、エスカレートしてくれないと…tt
・ジャリールのハーレムには正妃(有力者の娘)がすでにいるのですが、その人が「ハーレムに一度はいったらおしまい」みたいなことを言ってるんですよ。しかし最後はあっさり大金渡して家に返されたらしい(その辺は語られてないが…)
・姉の行方は依然しれず。非常識な両親も結婚式以来出てこないし。
・正妃が「逃がしてやる」って言う、あのくだりに裏はまったくなかったのにはガッカリ。普通は「そこで亡きものにしてやる…」とかありそうなのに…。


一番思ったのは、2度だけ出てきた日本大使館の下っ端のナントカさん。深読み大好きな私は「彼がきっと姉の駆け落ち相手…」とか「じつは黒幕…」とか勝手に思っちゃってたのに、本当に通りすがりの人です。フルネームまで与えられてるのに、なんという肩すかし!祖父祖母の夢(子供を作る)ってのは叶えられなかったけど最後まで愛妻家で終わったらしいぜ。七生は最初から最後までジャリールの正妃として女装して終わった、ってのがなんか個人的には納得できないなあ…とおもったりした。爺さんになっても誤魔化しきれたのかな、すげえな七生!
むう、この本はアレです。個人的にはモヤってしまって終わりでした。