★★★★☆  砂塵のかなた (f‐ラピス文庫)作者: 佐々木禎子,石原理出版社/メーカー: プランタン出版発売日: 2006/09/01メディア: 文庫 クリック: 4回この商品を含むブログ (2件) を見る

 ダニエル(一応理性のある王子)×雪也(見た目よりも男前な土木技術者)


「この場で裸になり、私に跪き奉仕しろ。そうしたら私は君に仕事をまかせよう」雪也は赴任先のアラブの小国で取引先の社長であるシーク・ダニエルに見初められ、仕事の交換条件として身体を差し出すことになってしまった…! 楔につながれ欲望の奴隷となり、仕事をする許しを得たあとも、性技に溺れた記憶が雪也の心を蝕んで。そんな時、シークと親しい隣国の王子ファハドに攫われてしまい!? 灼熱のアラビアン・ロマンス登場。(あらすじより)


受の職業が営業でも大学教授でもなく、砂漠の国の灌漑工事のために派遣された土木技術員です。
身長も160cmと小柄。29歳の男性で、仕事に対する考え方は真摯で職人気質と、今までにない強さを持った受。
攻のダニエルは快楽主義でほしいものを我慢しないという絵にかいたようなアラブの王子なんだけど、彼はアラブの王子に欠けがちな『思いとどまる理性と仕事に対する情熱』を持っています。えらい!


灌漑事業に真摯に取り組む優秀な雪也と気まずい関係になりたくない王子は、自分の欲望を自重しようと彼を遠ざけようとします。しかし、雪也はなぜ王子が自分を遠ざけるのか理解不能です。友好的な関係(仕事の得意先として)を気づきたいあまりに彼に近づいて行くんですが…という!!自分から罠にかかっていくような鈍い雪也ですが、王子は最後まで理性的でした。これはいい砂漠の王子!自分の仕事に誇りを持ち、王子の国にかかわろうとする職人雪也と、禁忌とされる同性の関係を周囲に認めさせてやる!と意気揚々と仕事をするダニエル様はこれからも良い関係でいられるでしょう。ええ話!!


いやあ、お話として今までのアラブ物の中で一番に面白かったと思う(自分的に)この先生の書かれる文章は大人っぽくて好きだ。それにしても、王子のお名前は『ダニエル』ですか。アラブっぽくねえ!
アラブは残り3冊です。これやっつけたらしばらくは号泣BLを探索しようと思います。もう夏も終わるしね!!