★★★★★ 愛憎劇…。

その唇に夜の露 (花音コミックス)

その唇に夜の露 (花音コミックス)

 若江(復讐に燃えるエリート)×和田(後悔し続けるバス運転手)  痛い純愛度・120%      


バス運転手・和田琢紀は、学生時代強姦した親友の若江恭一と再会した。15年前犯した相手から、今度は弄ばれることになった琢紀。琢紀の運転する深夜バスに、二人だけの荒い息が響く…。描き下ろし後日談収録!
(あらすじより)


↑うーん、あらすじだけ読むと『なんじゃこりゃ』という感じのものですが、お話はそんなに浅くない。私はあまりBLに漫画という媒体を選ばないのですが、この方の本は一度手に取ってみたいと思っていた。この方の描く手首が素敵なんだ。
第一夜・15年前、同級生として生きてきた二人が最低の別れをし、再開するところから始まります。バスの運転手として生きている和田は、15年前仲の良かった若江を若さゆえの独占欲で強姦してしまいます。若江はそれを絶望して転校し、そのまま二人は別れてしまうのですが…。
自分の運転するバスに成長した若江が偶然乗り合わせ、若江の復讐劇が始まります。
若江は和田の隠された思いに気づくこともなく、自分の受けた以上のダメージを和田に与え続けて徹底的に追い詰めていく。
その反対に和田はどんどん自分の中の若江への恋心を大きくしてしまいます。


最後の最後、気づきたくなかった相手への思いを自覚してしまった和田が気づかれないように首筋に唇を触れさせるシーン、自分のバスに乗らないでくれ、という懇願で思わず泣いてしまった。
強姦は絶対いかんと思いますが、このお話は救いがあるのかな、とか思ったりしました。最初は加害者であったはずの和田がボロボロに壊されていきますが、最後は幸せになってくれるといいナとか思ったりして。


描写はかなりリアルです。私の好きな町屋はとこさんに通じるものがありました。
やっぱり男性同士の恋愛ということでちゃんと描くところは描いてるのがよかった。当然、普通の男性には体毛というものがあるのですが、一般の作家さんってだいたい省いちゃうのにちゃんとSNG(俗にいうすね毛)が描写されていることに感心しました。でも汚くない。普通の男性がこういうこともあるよね、というリアルさがまたよかったのかな、と思ったりした。
この作家さんの描く男性の骨格が好き。